雑記 153 風の踊る日

画像1 いつもの暖炉は元気がない。火の燃え具合をマメに調節してくれる元消防士さんが、今日は都合があって来られない、と言う。彼は、火を消すのが仕事だが、燃やすのも得意だ。
画像2 だが、彼は火の管理人ではない。ただのバーの客なのだが、毎日のようにここで酒を飲み、ほどよく燃えるよう火の具合を見て、雑談をして1日を締め括る。今夜は客は1人もいない。暖炉の薪はただ静かに呼吸している。東京は30℃近い夏日だったと言う。こちらは、激しく風が吹いている。外に出ると、梢を渡る風の音だけが空の高いところで響き渡っている。建物の中は、屋根に吹き込む風が、どおーん、どかーんと鳴って空間を揺るがし、窓際からはヒュルヒュルと風の吹き込む音がする。廊下を風が音を立てて通り過ぎて行った。
画像3 八ヶ岳高原ロッジ、5月9日母の日

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