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猫日和 62 失われた記録

鉛筆画は、手放す前に、印刷屋さんでスキャンした。ほぼ、猫と同じ大きさで描いているため、自宅のプリンター複合機のA4ではうまく入らなかった。
データはCD-Rに入れてもらい、保管。追録可とのことだった。

それから、20年近くが過ぎた。
やれやれ、また、この話になる。
この間、仕事と雑用に追われ、あまりにも忙しすぎた。

やっと一段落して、パソコンも新しくなり、そうだ、鉛筆画のデータがあった、と思って、そのCD-Rを発掘した。
ところが、全く読み込まない。
スキャンした当時、CD-Rで保存、SDカードで保存、と保存方法は幾つかあった(USBはまだなかった)が、保存すれば、好きな時再生出来るというわけにはいかないことを知らなかった。

何度も試したが、エラー。
どうしたらいいだろう、と印刷屋に聞きに行ったが、

もう20年も前のことですからねぇ、こちらも、小さな印刷屋ですし、お客さんのデータを取っておくと言っても、膨大な量になり、そんな昔のものは……

と、やはり想定していたとおりの返事。

スキャンしたのはパソコンがWindows98からXPになった頃。それから、あれやこれや、MeだのVistaだの何だの沢山の機種が出て、7になり、8になり、今や10。あの頃のパソコンの進化は、最近の進化などとは比べものにならない急激な進化だった。私のSONYのVAIO、WindowsXPの容量は256で、メモリー増設は出来なかった。
今や1Tとか言っているのに信じられない話だ。
CD-Rだって、1枚200円はしていた。その前には、1枚3000円の時代があったそうで、仕事で書き込みに失敗した時の絶望感を語る友人がいた。

読み込めない原因は私がCDの表面にメモを貼ったことらしかった。メモの糊が良くなかったらしい。内面に傷がついた、ということでなく、ディスク表面からの化学変化らしく、再生不能。
落胆した。

もしかしたら、古いパソコンなら読めるかもしれない、と印刷屋さんは言い、仕事そっちのけで、古いパソコンを探し、親身になって沢山の時間を使い、あれこれ方法の限りを試してくれた結果、何かの具合で、全部ではないがデータが復活した。強い気持ちが天をも動かしたかのようだった。
嬉しかった。

そんなに、大事ならもっと早くパソコン本体に移しておけ、ということだが、
CD-Rで持っているのだから大丈夫、と信じていた私が馬鹿だった。

絵も渡してしまって手元になく、その渡した家の人は、薬屋さんの話だが、もう旦那さんも奥さんも亡くなって、家もなくなり、2度と見ることは出来ない。
本来、手放した絵はそういうものだが、寂しさは募る。

だから、データが一部でも戻ったことは、本当に嬉しかった。

noteを始めて、手探りの作成だったため、色々なことが分からなくて、スマホに入れていた写真を使ったものがある。
自宅のEPSONで葉書をスキャンしたものだったので、後で復活した印刷屋のスキャンデータとは印象がかなり違う。
noteの記事の写真を差し替えようと思ったが、私の実力では、まだ出来ないでいる。

ということで、今回は、薬屋さんの看板娘(猫日和 3)の画像の差し替え。

写真は、クッキーとイワン。どちらも、うちに来る前は、宿なし猫だった。

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