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猫日和 40 N町の大槻教授UFO目撃の話

N町の大槻教授と私達が呼ぶ頑固者の金物屋の店主がいて、テトはそこのお店番猫である。いつも退屈そうに、椅子の上で買い物に来る客を、日がな一日眺めている。

店主は非科学的と思われることは一切受け付けない。だから、奥さんと私がUFOの話をしたり、スプーン曲げの話をしたりするのが嫌いである。
ふん、そんなもん、
と鼻先で笑って、
だから女は馬鹿って言われても仕方ない。大馬鹿だ、と息巻いている。

年末のお楽しみのテレビ番組で、たけしの超常現象を巡るエンターテイメントバトルがあって、その中で、早稲田大学の前髪を切り揃えた大槻教授が、非科学的だと大暴れして、それに倣って、大槻教授とお呼び申し上げている。

おばさん達のただの井戸端会議話なのに、語気も荒く、

そんなもん飛んでるなら、見せて、ほら早く!

というような調子である。

だが!そのN町大槻教授が、UFOに出会った、と興奮気味である。

私の方が、まさか、と流し目をする。どこで?

すると、そこいらにあったFaxの用紙を出して、
こんな風、と書き出した。
俺がこんなに言ってるのに、分からない奴だな!

つまり、正月に福島県にスキーに出かけ、アルツB andaiからの帰り道に、山道を走っていたら、目の前に、棒状のものが浮かんでおり、その下の端から、明るいオレンジ色の光がまっすぐ地上に出ていた、と。
気がついて、そのまま走りながら、山道をカーブして、曲がり、次の角で再び確認。

あれは何だろう。

そしてまた走ってカーブして、再びその空の見える場所に来たら、物体は跡形もなく消えていた、という。

真剣さが、普段の店主とは違うが、いつも馬鹿にされているので、そう簡単には、目を丸くして、
わぁUFO、すご〜い!
などとは言ってやらない。

本当にいたんだ!
太陽は沈みかけだったけれど、その方角ではなかった。
光は太陽の光よりも、もっと明るく鋭く、オレンジ色のビームだった、と。

そして助手席に乗っていた人も同じものを見ている、だから見間違えや錯覚ではない。

N町の大槻教授が言うなら、本当のことだろう。

「ふぅ〜〜ん」
あまりに私の反応が薄くて、もどかしささえ覚えるのだろう。
「ねぇ、テト」
と、猫に同意を求める。
ほらご覧なさい、普段の行いが悪いから、思いっきり盛り上がりたいところで、うまくいかない。因果応報よ。

テトは、ご覧の通りの表情で、

人間はどいつもこいつもアホや、と言いたげ。父ちゃんもアホ、母ちゃんもアホ、ついでに、あんたもアホ。
1994年の話。
「信じるか信じないかはあなた次第」という都市伝説の決まり文句も今では一般化した。

私の話は昔の話ばかりね。
冬眠しているうちに、時はいっぺんに吹っ飛んでしまったわ。

でも、2020年になって、ボチボチ、UFOは身近なものになってきた。
アメリカ上院では、マルコ•ルビオ議員が出した議案が通れば、90日以内にその情報を公開する(しなければならない)と言うし、NYタイムズはUFOの存在を認めたと言うし、松原照子さんは、最新の『月刊ムー』9月号で、日本で遠くない将来UFOが目撃されるだろうとおっしゃる。それも、ジャンボジェットの何倍もある葉巻型のUFOがイメージに浮かぶらしい。

あ、葉巻型のUFOね、それ、火星から来てます。地面に垂直だったでしょう?
ビームのところに窓ついてたでしょう?
と矢追純一さんが、昔、おっしゃった。

私は見てないから分からないけれど、宇宙人との遭遇も近いのかな?

UFOというなら、私には、語るべき話が沢山ある。

「ねぇ、UFO来てるけど、見る?」

子供の誕生会をしようと家族で新宿住友三角ビルのお寿司屋さんに行ったら、たまたまレジのところで知人とすれ違い、広い東京、こんなタイミングですれ違うなんて、世の中狭いわね、と言っていたら、携帯電話がかかり、
「ねぇ、UFO来てるけど、見る?」
とサラリと言われた。
展望台に行って、2時間も見た。それからというもの、UFOは私の周りに頻繁に現れ、でも、忙しくてUFOどころではなかったから、真面目に相手にしてさしあげなかった。

長くなるので、その話は、いつかまたの機会に。

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