雑記 451 岩座神集落
岩座神(いさりがみ)は、兵庫県の真ん中あたり、北播磨の山奥に存在する小さな集落で、日本棚田百選にも選ばれた美しい石積みの棚田の里。
戸数わずか20にも満たない村で、高齢化も進み、一口で言えば、いわゆる限界集落(存続が危ぶまれる集落)だ。
1997年に始まった村おこしで、棚田のオーナーを募り、初めは20人の募集に50人もの応募があった、という。
オーナーになるためには、原稿用紙何枚かの論文を提出して、試験に受かる必要があり、私の友人は1年目は落ちた。
「オーナー制度を、甘く見た」とショックを受け、2年目は真面目に取り組んで合格した。
そのオーナー制度も、村民の負担が大きく、2019年をもって、廃止となった。
だが、折に触れ、集落に行って深呼吸する。
今朝は、稲刈りに間に合うかもしれない、との思いで友人に連れて行ってもらったが、ちょうど今日最後の田が稲刈りを終えたところだった。
米は終わったけれど、蕎麦ならあるよ、と言われて、蕎麦畑に。棚田の石組みが見事である。
それから神社に寄る。
「随分荒れているように見えるけれど」という私達に「この前の台風でやられたよ。でも、稲刈りが精一杯で、人手がなくて、次の週末までは片付けが出来ない」と正直におっしゃる。
「収穫祭は予定しているよ」と。
日本人の心の故郷。掬った両手の指の間からこぼれ落ちていくに違いない、失われる故郷の、切なさ、寂しさを感じさせる集落の今日。
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