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偏食の家族を持つ苦労 ームスメ編

モトオに比べるとムスメの偏食は可愛いものですが、どちらにしても家族に偏食があるということは、食事を作る者にとっては悩ましい問題です。

せっかく美味しい料理を作っても嫌な顔をされ、挙句の果てに「他に何か食べるものないの?」と言われるのですから、腹が立つなんてもんじゃありません。

ある日耐えきれずに「食べたくなければ、食べなくていい」と、キッパリ言って知らぬ顔をすると、ムスメはまずいと気づいたらしく「私は食べるよ」とか「食べてみたら、ちょっと食べれた」と言って、子供らしく頑張ることもありました。

とはいえ毎食のことなので、家族の健康の為、寝ても覚めてもどうしたら食べてもらえるかで、私の頭の中はいっぱいになっていました。

さんまの塩焼きブームと刺身好き

ムスメの趣味趣向には、時々ブームがやってくるのですが、食に関しても同じ現象が起きました。さんまの塩焼きブームはその中でも印象深いものの一つです。

ムスメは、食べ物の見た目や感覚過敏から来る食感や匂いなど、私には理解できない要因から、肉が嫌い、卵の白身が嫌い、豆腐が嫌い、豆類が嫌い、ナスやキノコやチョコレート、クッキーなどのお菓子が嫌いと、嫌いなものだらけの変わった子供でした。当時はそんな原因があることなど知らず、夫に似て好き嫌いの多い子としか思っていませんでしたので、3歳頃に突然来たさんまの塩焼きブームは小躍りしたくなるほど嬉しいものでした。

このブームで一番嬉しかったのは、モトオが嫌いだった魚の塩焼きを大手を振って出すことができるようになったことでした。ムスメの喜ぶ顔で、モトオの仏頂面が気にならなくなったのは新鮮でした。

それに似たことは、刺身でも起きました。モトオは「刺身はおかずじゃない!」と言っていて、刺身の時は他にもメインのおかず料理を出さなければいけなかったのですが(思えばこれもモラハラ)ムスメのお陰で、刺身はメインのおかずとして解禁になったのでした。

残念ながら塩焼きブームは一年程で消え、いつの間にかムスメも肉の方が好きな子供になっていました。けれど、偏食のせいか、ムスメはしょっちゅう体調を崩していたので、私の調理への工夫と挑戦は長く続いたのでした。

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好き嫌いが半端ない

全てにおいて言えましたが、食べ物の好き嫌いの度合いも極端でした。嫌いだと全く食べず、好きだと限度を超え、ほどほどがないのです。満腹中枢も弱いようで、自分の限度を超えて食べた結果、人に迷惑をかけることもありました。

そんな中、彼女が変わらず好きだったのは牛乳でした。チーズも大好きでした。偏った食生活でも、こうして元気に育ったのは牛乳のお陰だと思っています。

水代わりに一日1リットルは飲んでいたんじゃないかという牛乳でしたが、栄養万能食品もやはり飲み過ぎには弊害があるもので、そのせいで夜尿が止まらず、夜のオムツが小4になるまで外せませんでした。夜尿症の専門クリニックに通い、治療の一環で、牛乳を飲むのは止めた方がいいと言われた時は驚きました。

うちの偏食克服法は、嫌いと言われても出し続けたこと。勿論分からないようにして。私が知恵比べのように料理を楽しんでいたこともあり、無理強いせず少しでも食べれたら喜ぶを繰り返していたら、今はいろいろなものが食べれるようになり、医者にもほとんど掛からなくなったのは良かったと思っています。

学校の子供たちの給食も同じことが言えます。入学したての頃は食べられなくても先生達から「一口でもいいから、食べてごらん。 一口食べたの? 偉いねえ」と声をかけられていると、二年生になる頃には食べれるようになっていることがよくあります。偏食はやはり周りの大人の関わり方が影響すると思います。勿論、感覚過敏が強いなどで、どうしてもダメというのは別ですが、アレルギーがなければ嫌いなものも出すのがいいように思います。

食事は楽しみたいものです。特に家族で一緒に笑顔で食事ができることは、幸せなことです。モトオのような家族がいると無理ですが、親は一人でも楽しい食事は可能です。

ムスメが小さい頃大嫌いだったナスが、今は彼女の大好物になっているのが不思議です。いつも上手くいくとは限りませんが、苦労の甲斐があった、と思えることも時にはあるということです。


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