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色んな権利があるもんだね。それって制限していいの?規制していいの?

憲法22条「何人も公共の福祉に反しない限り、居住、移転および職業選択の自由を有する」
権利は、公共の福祉との戦いの連続である。

≪ポッドキャスト版 やわらかいほうのごたく≫
https://listen.style/p/yawarakaihou/ycqtevse
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小売市場事件(最大判昭47.11.22)
国が、積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るため、その社会経済政策の実施の一手段として、立法により、個人の経済活動に対し、一定の規則措置を講ずることは、それが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、憲法の禁ずるところではない。
個人の経済活動に対する法的規制措置については、裁判所は、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白な場合に限つて、これを違憲とすることができる。

薬局距離制限事件(最大判昭50.4.30)
薬局開設の許可基準に「距離制限規制」を設けることは、不良医薬品の供給防止という目的達成のための合理的な規制といえず、違憲とされた事例。

公衆浴場距離制限事件(最大判昭30.1.26)
公衆浴場の許可基準に「距離制限規制」を設けることは憲法22条に違反しないとされた事例。
”公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠き、その偏在乃至濫立を来たすに至るがごときことは、公共の福祉に反するものであつて、この理由により公衆浴場の経営の許可を与えないことができる旨の規定を設けることは、
憲法22条に違反するものとは認められない。”

酒類販売業免許制事件(最判平4.12.15)
酒類販売業を免許制にすることは財政目的のための規制として、それが著しく不合理なものとはいえず、憲法に違反しないとされた事例。

司法書士独占業務(最判平成12.2.8)
司法書士及び公共嘱託登記司法書士協会以外の者が他人の嘱託を受けて登記に関する手続について代理する業務及び登記申請書類を作成する業務を行うことを禁止し、これに違反した者を処罰する司法書士法一九条一項、二五条一項は、憲法二二条一項に違反しない。
行政書士が業として登記申請手続について代理することは、司法書士法一九条一項に違反する。

職業選択の自由は「経済的自由権」なのである程度は公共の福祉によって制限されることもやむなし!でも著しく不合理だったり国民生活に大きな影響を与える懸念がある場合は規制が違憲になる場合もあるよ。ってことです。
公衆浴場は各家庭に風呂がつくようになって昭和30年当時の感覚からは、だいぶ変化している気がしますね。試験対策なので覚えましょう。

財産権(憲法29条)「財産権はこれを侵してはならない。」
自分の土地なんだから自由に使っていいよ
自分の持ち物なんだから自由に処分していいよ。ってやつ。
29条2項では「財産権の内容は公共の福祉に適合するように法律でこれを定める」
29条3項では「正当な補償のもとに、これを公共のために用いることができる」とあります。

奈良県ため池条例事件(最大判昭38.6.26)
ため池の破損、決壊等による災害防止を目的とし、ため池の堤とう(堤防)に竹木や農作物を植える、または建物その他の工作物を設置する行為を禁止し、処罰しても憲法に違反しない。
これにより財産上の権利の行使を制限されるが、災害を防止し公共の福祉を保持する上で社会生活上やむを得ないものであり、29条3項の損失補償は不要である。

森林法共有林事件(最大判昭62.4.22)
森林法186条が共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者に対して分割請求権を否定しているのは、その立法目的との関係において合理性と必要性のいずれもを肯定することのできないことが明らかであり、29条2項に違反する。
(森林法の目的:森林の(権利)細分化を防止することによって森林経営の安定を図り、もつて国民経済の発展に資することにある。)
財産権に対して加えられる規制が憲法29条2項にいう公共の福祉に適合するものとして是認されるべきものであるかどうかは、規制の目的、必要性、内容、その規制によつて制限される財産権の種類、性質及び制限の程度等を比較考量して決すべきものである。

河川付近地制限事件(最大判昭43.11.27)
個別の法令に損失補償の規定がなくても、その損失を具体的に主張立証して、別途憲法29条3項を根拠にして補償請求をすることも認められる。
財産上の犠牲が単に一般的に当然に受認すべきものとされる制限の範囲をこえ、特別の犠牲を課したものである場合には、これについて損失補償に関する規定がなくても、直接憲法第二九条第三項を根拠にして、補償請求をする余地がないわけではない。

憲法の条文を根拠にして補償請求することも理論上はできるから、損失補償に関して定めた規定がないからといって、即違憲無効!とか一切補償できませんという解釈にはならないよ~っていう結論です。

まだまだ、人身の自由やら参政権やら生存権やら労働基本権やら、色々と権利が定められておりますが、ボチボチ紹介していきたいと思います。
行政法にそろそろいかないと・・・なんて思いながらも喋ってて面白いのは憲法なんですよね~。


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