サスティナブルな選択には時間と空間と金銭的な余裕が必要(今のところ)
移住後、サスティナブルな選択がしやすくなった
東京にいたときから、買い物をするときはなるべく地球や人権に配慮した製品選びや買い方をしたいと思ってきました。
移住後、その思いはますます強くなり、なおかつ実践の幅が広がってきました。(最近は、地球と人権に加えて、動物の福祉にも関心が向くようになりました)
それは一つには、コミュニティの影響があります。例えば、ペットボトルを買わずマイボトルを持ち歩く人の割合が、東京にいた頃に比べてぐっと高くなったように思います(これは、時代の変化もあるかもしれません)。周りに環境問題に関心の高い人が多いので、その人たちの行動から自然と学べることがあります。
もうひとつ見逃せない要因が、時間と空間の余裕です。
より良い商品選び、買い物の仕方には時間がかかる
スーパーやコンビニ、あるいはネット通販でぱっと目に飛び込んでくる商品が、果たして地球環境や人権に配慮されたものかというと、そうではないことの方が多いのが現状。
何か欲しい物があったときにより良い選択をしようと思えば、候補となる商品を探して製造方法や容器包装の状態について調べたり、お店に買いに行くのか宅配してもらうのかなど、より環境負荷の低い入手方法を考える必要があります。
そもそも新品を買わず、手作りしたり譲ってもらったり、中古で手に入れる方がエコであったりもします。そういうことをしようとすれば、ますます時間が必要です。
また、特にプラスチック包装材を削減するという観点からは、計り売りをしてもらえる店でマイ容器に入れてもらったり、保存の効くものはなるべく大容量のものを買い、自分で詰め替えて使うのが良い選択だったりします。
量り売りでの買い物、私の場合
私は、洗濯用洗剤は「All things in Nature(オールシングズ・イン・ネイチャー)」というものを使っていて、これは友人が昨年春までは我が家で、その後は近所にオープンしたKOKYUで定期的に計り売りのお店「ありがとうや」を開いてくれているので、日常的に手に入りやすく助かっています。この洗剤を補充するのは数ヶ月に一度ですが、ありがとうやさんでは、毎週のように美味しいグラノーラも量り売りしてもらってます。
玄米は、町内のお米屋さんに布袋を持って買いに行きます(白米はすでに袋詰めされたものが並んでいるので、わざわざ別の袋に計ってくださいというのは躊躇しています……)。
サラダ油は、佐久市のMaru Cafeさんが土曜日午前中に開いているawai marketや、最近通い始めた小諸市のお店giro by parteさんで(併設の美容室に行くついでに)持参の瓶に入れてもらいます。ただ、お店に行く頻度が少ないので、切らさず補充するのがちょっと難しい……。
ここに挙げたもの、それぞれ別のお店で買うので、やっぱりスーパーやコンビニと比べると買い物そのものに時間がかかる。たまたま近くに量り売りのお店があったり、私がフリーランスで時間の融通が効きやすいからできているという面が大きいと思います。
空間の余裕があれば大容量で買える
保存が効くものは、大容量のものを買えばプラスチック容器の削減や配送の回数を減らせます。同じものを小さいサイズでちょこちょこ買うよりも、お財布にも優しいです。
私は、食器洗い用の液体洗剤はエコストアの5リットル入りのものを買い、自分でポンプ式の容器に詰め替えて使っています(食器洗い用ですが、別の容器に入れてお風呂の掃除や住居用洗剤としても使っています)。
食洗機用の粉末の洗剤も試しに2キロ入りを買ってみて、ちゃんと汚れが落ちることが分かったので次は5キロ入りを注文しました(タイトルのところの写真に写ってるのは2キロの容器)。
液体洗剤5リットルは確か数年単位でもつので、普段の買い物で「食器用洗剤、そろそろ買わなきゃ」みたいなことを考える必要がなく、とてもラクです。
ただ、これらの容器は場所を取ります。地方に引っ越して、家が広くなったから迷いなくできる買い方だなぁと思います。
コストダウンにも時間と空間が味方する
なるべくサスティナブルなものを選ぼうとしたとき、常に付きまとうのがコストの問題です。
やはりスーパーやコンビニで売っているものの方が、安い。
安いのには、大量生産だから効率的に作ったり運んだりできる、安くて軽いという利点のあるプラスチック包装を使っている、人件費が安い国で作っている、動物の福祉をないがしろにしているなど、商品によっていろいろな理由があります。望ましくない理由を避けるためには、値段が上がるのは仕方ない面があります。
とはいえ、使えるお金は限られている。私の生活がサスティナブルであるためにも、節約できるところはしなければなりません。
実践しているのは、欲しい物があってもすぐに買わず、安く入手できる方法を探すこと。メルカリに検索条件を登録してお目当てのものが出品されるのを待ったり、リサイクルショップやフリーマーケットを見に行ったりします。
先に挙げた「大容量のものを買う」のも、安くなっているときにまとめて買っておくというのも節約になります。
こういうことをするのに、やっぱり時間と空間があるということが重要です。
理想は、サスティナブルな行動が誰でも自然にできること
地方に移住して、時間の流れがゆったりし、モノを置いておける空間もでき、私は以前よりもサスティナブルな選択ができるようになった。
嬉しい反面、「これでいいのかな」と思います。
本当は、ぱっと飛び込んだスーパーで、ぱっと手に取ったものが、地球にも生き物にも優しいものであればいい。忙しい日常を送っていて、特に深く考えなくても「正しい選択ができている」と安心できる世の中が理想です。
今は過渡期なんだと思います。少し時間と空間に余裕があって関心のある人が、「こういう商品を求めている」「こういう買い方がしたい」とメーカーやお店に示したり、「こういうものを選んで、こう使ったらいいよ」と周りに伝えていくことで、「新しいもの、高機能なもの、安いものが売れる」という常識が少しずつ変わっていく。今は割高な「エコな商品」にも規模の経済が働いて、関わる人たちへの正当な対価は維持しつつ、今よりもお手頃な値段になっていく。
––そんな未来が近いうちに実現する。そう信じて、今の私にできるだけの選択、行動をしていきたいと考えています。