笠置キャンプ場と焚き火団体

京都の「笠置キャンプ場」で延焼騒ぎがあった。火事だという人もれば、テロだという人もいた。この「火災騒ぎ」に乗じて、ネット上でも延焼していた。俺自身、時々キャンプを楽しむ人間だ。そんなに本格的ではないが。気になって調べるうちに、様々な問題に発展していることを知ってこの記事をエントリーしようと考えた。
※引用としてツイートを表示しているが都合が悪い方はお知らせください、削除します。

何が起こったのか

おそらく事業用廃材(木材)を積んだとみられるトラックが、笠置キャンプ場にやってきた。彼らはそれで大規模な焚き火パーティーを開始。たちまち大きな炎になり、キャンプ場の利用者から消防へ通報された。被害(テントが燃える・怪我人がでるなど)があったのかは不明。ネットで「笠置キャンプ場 火事」で検索すればまとめサイトがいくつも出てくるので、現場の雰囲気を捉えて欲しい。そのうちの1つを貼り付けておく。

焚き火の範疇を超えた規模だとわかるだろう。

犯人は誰か

トラックで廃材を持ち込んでいることから、何らかの事業を営む業者ではないか、と想像される。また、mixiで「廃材を燃やすだけの会」「夜間は管理人がいないから無料で出入りできる」などと募集しており、倫理観・道徳観ともに欠如していると俺は感じた。下記アカウント「あひょーん太郎」さんというアカウントがmixiでの募集内容をスクショして投稿されていたので、正確な情報を参照してほしい。

なぜ問題なのか

有料キャンプ場に無料で入場を促す行為などは言語道断。また過度な事業ゴミを焚き火と称して燃やすのも問題だろう(法的な問題もあるので各自調べて)。しかし中には、「とはいえキャンプファイヤーとかもあるのに、なぜ大規模な焚き火がダメなの?」と素直に疑問を感じる人もいるだろう。なぜこのような大規模な焚き火がいけないのか。単純に危ないからである。

焚き火をすると、パチっと爆ぜたり、風に乗って火の粉が漂うことがある。すぐに消えるものがほとんどだが、大規模な焚き火となると、大きな火の粉が舞い飛ぶ可能性も高くなる。火の粉が付着したテントや服が燃えたり、乾燥している時期だと枯れ木や枯れ草に燃え移って大規模な山火事になる恐れもある。また、寝ている時間にテントが燃えたら、命にも関わるだろう。

そのため、焚き火を許可しているキャンプ場でも「キャンプファイヤー」などの大規模なものは時間や場所が制限されているケースが多いし、あるいは禁止されているキャンプ場も多い。故に、安全管理もしないまま廃材を燃やした業者は大変危険であり、通報されたのだろう。

ネットでの延焼の発端

笠置キャンプ場では、大規模な焚き火を行う名物的な団体がある。全長7メートルの焚き火を40名で囲んでおしゃべりすることもあるという。メンバーの話によると、市およびキャンプ場の管理人から許可を得ており、炎が大きくならないように配慮をしている。焚き火後もバケツ何杯分もの水で消火し、原状回復をしている。

その主張の一方で、「そうはいっても心配」「大人数だからあまり嫌とはいえない」という声が一定数存在していることを確認している。

その中で、ある匿名アカウントがこのようなツイートをした。

このツイートは、焚き火団体(火災騒ぎの犯人ではない)や大きな焚き火自体に懸念をもつ人物によるもの。過去にキャンプ場管理者にあてて「危ないのではないか」「ルール作りができないものか」等と問うた際のキャプチャ画像を添付している。

素直に受け取れば、「以前から大きな焚き火をする一団がいて不安だった。自身はその懸念を管理者に伝えていたが、ボヤ騒ぎを起こす不届き者が現れてしまった」という趣旨のツイートに読める。また、このツイートには団体の名称は明記されておらず、犯人であると主張する文言や誤解させる文言が付加されている様子もない。

しかし、その焚き火団体の1名から「俺たちが犯人のように書くな」という趣旨の怒りのリプライがつき、ネット上での延焼(論争)に至った。最終的には団体によってアカウントの素性が特定され、晒され、業務妨害に近い行為を繰り返された。

ちなにみ「素直に受け取れば〜」と説明したが、当然、独り言であるがゆえ文章は簡素になる。注釈がなければ団体の存在を認知している一部の人が誤解する恐れもあるので、「言葉足らずだった」ことは否めないと筆者は考える。しかし、その後のやりとりで情報が補足されているので、そこまで問題視はしていない。

ネット論争の具体的論点

(1)焚き火団体が犯人であると誤解させたかツイートの罪
(2)焚き火団体の行動が事件を誘発したか否か
(3)焚き火団体のとるべき行動・反論が適切だったか
(4)今後の対策

以上の4つが主な論点だと考える。

(1)誤解させたツイートの罪
誤解させた可能性は当然否定できない。人の読解力も様々だからだ。しかし前述した通り、それを補足するやりとり、コメントが付加されているのでそこまで問題視していない。また、「無断で写真を利用した」と怒っていたが、日頃から盗撮した画像をアップして糾弾しているお仲間を咎めないくせに、そのような主張をするのは如何なものか。

(2)焚き火団体の行動が事件を誘発したか否か
こちらも断定はできないが、当然、否定もできない。懸念の声は以前からたびたび挙がっており、団体も認知していた。比較的、利用者の性善説に基づいて管理されている節があり、大規模な焚き火イベントがお咎めなくできていることを知った犯人が、焚き火と称して事業ゴミを焼却しようと発想することは考えられる。

(3)焚き火団体のとるべき行動・反論が適切だったか
前提として、彼らは歓迎されているのではなく、許容されている存在である。つまり、イベント化した大規模な焚き火は、キャンプ場が一般的に推奨している「煮炊きや個人で楽しむ焚き火」とは異なる利用方法である。
推奨されていない行為についてお咎めがなかったとしても、それは「歓迎・肯定されている」のではなく、「許容されている」ということだ。

「誤解される書き方はやめてほしい」という要望は正当だと考えるが、「許容されている」立場から喧嘩腰のコミュニケーションはご法度である。様々な「工夫や配慮を凝らしている自負」から湧き上がる感情だろうが、どれだけ工夫しようと「誰かの我慢のうえで許容されている行為」に変わりなく、100%正義の態度で対峙するのは根本的に間違っているし、本来は「自分たちの行為が犯罪を誘発しないように対策を考える」という態度が必要ではないかと考えている。

(4)今後の対策
業者がトラックで乗り入れて火事を起こす。このような不届きものを完全にシャットアウトすることは不可能である。ただ、ルールづくり、管理方法の工夫はいくつか可能ではないかと考えている。

犯罪を防ぐには人の目を増やすことが大切。そのために、土日や閑散期限定の見回りスタッフ(リゾートバイトのような)を募集してはどうか。

人を増やして見回りをし注意をするには、その注意に正当性を与えるルールが不可欠。違法行為の誘発を防ぐためにも、焚き火のサイズ、場所を限定する。あるいは、乗り入れ車種の制限。規定サイズ以上の焚き火をする場合は予約制にするなども有効ではないか。

思いつきの提案なので穴だらけだが、何か工夫を考える余地はあるだろう。

焚き火団体の不誠実さ

ここまで読んで、犯人でもない焚き火団体になぜ厳しい目を向けているのかと不思議に思う人もいるかもしれない。別に恨みがあるわけでも関係があるわけでもない。この騒動を知って、彼らキャンパーの言動に問題を感じたからである。

そもそも意見が対立している相手であっても、秘匿にしている個人情報を勝手に公開する行為は倫理観を疑わざるをえないし、その行きすぎた行為を40名以上いる関係者が即座に止めに入らないのもおかしい。登録者数1万人ちかくいるYoutuberやキャンプ道具を製造販売している事業者など、一定の影響力をもつ人々がそれらの行為を肯定的に見ているような態度を表明したのも異常だと思う。

また、俺は「確かな筋」から情報を得ている(ツイッターじゃない)。当然、具体的な内容と情報提供者に関して公開はできないが、裏事情と彼らの「ルールにしたがってやっている、許可を得ている、配慮している」といった説明に疑問を持たざるを得ない状況でもある。

こういった状況・態度から「普段からこんな連中なのだろう」と受け取られても仕方がないし、俺自身、そう受け取っている。

「確かな情報筋」などというと随分怪しいが、「ネットや仲間内での公開は一切しない」と約束できるのあれば、その詳細を教えるのでDMにメッセージをくれたら対応する。

焚き火について俺はどう考えているか

しらん。キャンパーといえるほどキャンプしたことないし。だが、管理者が許可をして、定められたルールの中でやる分には問題ないと思っている。それは、焚き火が大きくても小さくても。

懸念を持つ人が現れたら、ルールに基づいて説明をすれば良いし、そのルールを許容できなければ利用しなければ良いと考えている。
居酒屋で宴会をやっている団体を許容できないからといって、店が許可した宴会を辞めさせるわけにはいかないのと同じである。宴会やってる店が嫌なら別の店に行けば良いのだ。しかし、許可されてない宴会・度を越した行為をしていれば、宴会している団体は排除されるだろう。

俺は一般的な焚き火の危険性について、そこまでナーバスではない。水や火消し壺で消火する、風が強い日にやらない、枯れ草のある場所で焚き火しないという、普通の火の用心ができていれば目くじらを立てることもない。地中の微生物を殺してしまうとか、熱が木の根に伝わって云々とか、言い出したらきりがない。

だが、それを懸念する人の声は理解する。尊重する。もちろん従うか従わないかは別。従わないという判断をしたとき、その正当性を補強してくれるのが、その施設の「ルール」である。

余談だが、先ほど「熱が木の根に伝わって」と書いたが、あながち笑えないのだ。日本のキャンプ場で一般的な焚き火をする上では、そこまで心配する必要はないと思うが、海外では「地下火災」というのが存在する。
ようは、地上あるいは地下で起きた火災の火が、地下の石炭などに燃え移って火災が発生するというもの。規模が違いすぎで現実味がないものも多いが、参考までにURLを貼っておく。暇な時に読んでくれ。つか、これ読んでる時点で暇だろ。


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