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半世紀を経て、物語は時間を結晶化する*

 1976年発行の雑誌『プリンセス』を探して、神保町の明治大学 米沢嘉博記念図書館へ行ってきました。2月号と3月号に前後編で掲載された萩尾望都の『アメリカン・パイ』と再会(>∀<)!国立国会図書館でのプチコミック版でモノ印刷になっていた前編のカラーページと、後編の2色カラーが綺麗に残っている!カラーならではの世界に見入ってしまいました。

 ご満悦と言いたいところですが、モノ(一色擦り)のページが、残念!!(T . T)なことに。日焼けで茶色くなってますが何色か紙色があって、紫のインクで刷ってある。それが、ほとんどのところで、しゅわゎと裏抜けしてる。印刷したてはそれほどでもない油分が、半世紀近い時間を経て浸透し、紙に油紙っぽい透け感を出して、裏の印刷が抜けて見えている。

 なんてこったぁ。空間の多い表に、書き込みの多い裏面がある場合、空白が読み取れなくなっている。ましな紙もあるんだけど、ちょっとツライ経年劣化でした。そうかぁ。昔の雑誌ってそうだよね。でも作品集では、カラーページが残念なことになってるしなあぁ。現在の紙とインクの技術で、カラーページもフル再現の雑誌サイズでの復刻版って出してくんないかなぁ。

 裏抜けしてるページをめくっていると、左側のページは次のページ、つまり未来の予感が透けて見えていて、右側のページは前のページ、つまり過去の残影が残っている。まあ、読み取れるわけじゃないんだけど、なんか物語に流れる時間が、今を狭間に未来と過去を含めて結晶化しているみたいな。マンガのメソッドを超えた物質感があって面白い。とも言えるかな。

 そう言えば最近のマンガ、余白がすごい作品にあまり出会わないな。とか思ったりして。大切な作品に出会う旅第3段はここまで。来週には、今度こそ宝塚版の鑑賞報告できるといいのですが。

第3段:あの日の『思い』をお蔵出し*

第2段:原点にして分岐点な作品*なんじゃね

2021年2月26日




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