#エッセイ(時代を読み違える)『リゲイン販売終了』 

 先日テレビのワイドショーで知ったのですが、栄養ドリンクの『リゲイン』の販売が終了したそうです。何ともモーレツに働く日本人を象徴するような商品で、CMでは『24時間戦えますか?』というフレーズで勇ましく歌っていたのが印象的です。僕の学生時代に売り出した商品で、当時このCMを見るたびに”オレも社会人になったら死ぬほど働くんだろうな・・”と何の疑問もなく見ていたような気がします。そんな感じで何の違和感もなくそのCMを見ていたのが80年代の終わり頃です。僕らが子供の頃は戦後の高度成長期などを経て著しい復興と繁栄の延長で大人たちがはすら無かったのです。
 今回の販売終了のニュースを聞いた時は、”これも時代の流れか”と思ったのです。ここ数年の世間の流れでは働き方改革やハラスメント防止などの無理強いをさせないという風潮が主流ですので、そんな波が店頭に並ぶ商品にまで影響を与えるのかと考えました。そう思った矢先のことです。昨日コンビニで飲み物を買おうとして棚を見ていたのですが、そこには何とRed Bullなる商品が置いてあるではないですか。それを見て”そういえば、これリゲインと何が違うんじゃ?”と目が点になりました。調べてみると、Red Bullはエナジードリンクというものらしく、活力増強と眠気覚ましを効果としているようで、リゲインは強い肝内服液というもので、その効用は似たり寄ったりでした。確かに効用はそれぞれにちょっと違うようですが、ともに疲労回復を目的にしており、僕にはその違いがさっぱり分からないのです。まぁ、街角で見かける今どきの若者はRed Bullをよく飲んでいるので、今はそれがみんなのお気に入りのようです。いずれにしろこのようなドリンクが売れているという事は、良い意味で拡大解釈をするなら、今どきの若者も何かを一生懸命頑張っているのでしょう。流行り廃りという観点で考えれば、リゲインはナウくないというだけの事なのでしょう。

 このニュース(リゲイン販売終了)を最初に聞いた時に時代の流れを勝手に感じ取ってしまったのですが、それは僕の早合点だったようです。頑張る日本人の象徴が消えていき、それに連動するように世の中で流行りの働き方改革やハラスメント防止などと勝手に関連付けて考えてしまったのです。今までの世の流れを見ると、石炭から石油に、固定電話から携帯電話へと新しい代替の商品が出てくる度に私たちの生活スタイルは大きく変わってきました。一つの商品が市場から消えて、その代替品としての新しい機能の商品が出ると世の中の人々の生活スタイルは大きく変わっていきます。色々な身の回りの物が変わっていく中で振り返ると昔過去と現代の違いが浮き彫りになると思うのです。様々な商品で新陳代謝をするような感覚で発売される新商品を見ながら時代が変わったと嘆くのもいいですが、ちょっと立ち止まって周りを見渡さないと今回みたいに見当違いな事を思ってしまうので、そこは注意しないとイカンと思う今日この頃です。


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