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失敗作、『Rem』
3週間ほど前、私は「Rem」という曲をアップした。
バラード調で6月の梅雨のジトジト感、そして6月に対して猛烈に怒り狂っていた大学時代の友人を回想して作った曲である。
メロディこそそれなりなものを作ったと自負しているが、よくよく振り返ってみるとこの曲は失敗作だと言わざるを得ない。
ぜひ、画面の前のあなた様も一聴してみてほしい次第である。
さて、どこがダメか。
それは、6月の梅雨感、つまり雨の雰囲気を想って作った曲であるにも関わらず、私は曲のド頭から「雨が降る音」を入れてしまっているのである。
雨の曲だというのに、雨の音をそのまま入れるとはなんたる所業か…。
創作している端くれである自負が私には足りなかった。
雨の雰囲気を演出したいのであれば、雨以外の音で雨を演出しなければ創作とは言えない。
雨の音をそのまま「雨の雰囲気の曲」に使ってどこに面白味があろうか。
私は絶句した。恥じた。メロスならセリヌンティウスに「むしろ私がこのまま磔にされたいぜよ」と申し出るレベルで自らの所業を恥じたのである。
そういう意味で言うなれば、共に音楽を作っているmidorimi氏に教えてもらった「ジョジョの奇妙な冒険」三部のED2つ目、パット・メセニーグループの「Last Train Home」はとてつもなく素晴らしい。
この曲は、終始一貫してドラムのシンバル(多分)がかなりの刻みで鳴っている。
タイトルからも推察が可能だが、おそらくこの刻みはTrain(この場合は電車ではなく蒸気機関車だろう)の走る音をイメージしているはずである。
そして低域にて主張しすぎず、リズムを小刻みに整えるベース。
このベースの雰囲気も蒸気機関車の車輪が動いているかのような、そんな印象を与えてくれる。
そこに乗るパットメセニーの老練なるギターのメロディ。
まるでポルナレフとイギーと花京院が車窓を眺めているようである。アブドゥルは確か本かなんかを読んでおったな。
汽車は走り、それによって車窓に映る夕日が揺れているかのような、そんなセンチメンタルな雰囲気さえも感じる。
全体的に音数は少ないながらも、これだけのイメージを沸かせるセンスに私は脱帽である。
ポルナレフついでにもう1つ紹介しておこう。Enyaの「Storms in Africa」も、一聴するだけでアフリカの広大なサバンナを彷彿とさせる素晴らしい曲である。
私は「Rem」の反省をこれらの名曲にて映し見ることができた。
創作とは本来、対象となるものをそれ以外のもので表現するところに面白味があると感じる次第である。
雨の音を、何か違うもので表現すればよかったのだなぁ。
おーわりっ!
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