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本当にあった、選挙での怖い話
ニュースをちょろっとみていると、そろそろ東京都知事選がある…とのことで、何やら賑わいを感じる今日この頃。
「選挙」という言葉を聞くと、いつぞやだったか…私が実際に目の当たりにした「あの瞬間」が脳裏をよぎる。
今でもあの時のことは鮮明に思い出すことができる。あんなに恐ろしい体験は他にしたことがない。
今回は題して、「本当にあった、選挙での怖い話」ということで、あの瞬間を赤裸々に綴っていこうと存ずる次第だ…。
覚悟はよろしいか?
______________。
もう何年前だったか定かではないが、あれは衆議院議員選挙の時だった。
私は「選挙」こそ、一国民が政治に参加できる唯一の機会だと思っているため(実際そうだしね★)、衆議院だろうが参議院だろうが区議会だろうがなんだろうが、とにかく「選挙」と冠する官的なものであれば一票を投じてきた次第である。
その中で、特に「衆議院議員選挙」だけはその他の選挙に比べて個人的には別格だと感じている。
というのも、やはり選挙に来る人の数が圧倒的に多いのである。
私の場合は、近所にある小学校の体育館にて選挙スペースが設置されるため、そこに赴くわけだが…。
例えば参議院選挙ならば、待ち時間5分もないぐらいで一票を投じて「はい終わり」だが、やはり衆議院は違う。
お昼頃に体育館へ赴くと、およそ50人ほどの列がなされていて、私は衆議院選挙の注目度の高さに驚きつつ、列の最後尾に並んだ。
私の前に並んでいたのは、おばあさんと…おそらくその孫(女性)である。
みたところ、おばあさんの歳は80代ぐらい、孫は大学生ほどである。
私はその時イヤホンで音楽を聴いていたのだが、これだけ人が並んでいると何かしらの事態やハプニングがあるかもしれないなと感じたため、イヤホンを耳から取って周囲の音に耳をすませていた。
おばあさんと孫の会話が聞こえてくる。
「あそこの…ほら、あの建物、あるでしょう?あそこはねぇ、老人ホームなんよぉ」
「へぇ…そうなんだぁ…結構大きいよね…おばあちゃんも行ってたの?」
「いや、私は行ってないんだけどねぇ、知り合いの■■さんがあそこに行ってて…。あ、あそこの建物じゃなくてあっちだったわぁ」
「あっちかぁ!じゃああそこの建物はなに?」
「知らないねぇ、ただのアパートなんじゃないかね」
アパートかよ!!!
なんなんだよ!!!!!!
なんなんだよもう…後ろにいる私がどれだけ笑いを堪えるのに必死かあんた方はわかっておられるのかマジで。
私は口元を手で押さえながら、素知らぬ顔して地面の土をほじくり返していた。
これはやばい。一瞬でも息の吸い方を間違えると変な笑い声が出てしまいそうである。
私の前には言わずもがな、すでに私の後ろにも列がなされている。
ここで変に笑ってしまっては確実にやべぇ奴確定だ。そんなことだけは断じて許されぬ。私はやんごとなき精神のもと、日本を動かしていくほまれ高き者を選ぶ投票をしにきておるのだ。
老人ホームがなんだ!アパートがなんだ!
私は鼻でかすかにフゴフゴしながら、精神統一のために心を無にしていた。
すると、一票を投じ終えた60代から70代ぐらいの女性がこちら側に歩いてきた。
その女性は、おばあさんを見つけるなり、
「あらぁ!お久しぶりぃ!」
と声をかけた。
「あらこんにちはぁ!もう選挙終わったのぉ?」
「そう、今し終えて…。やっぱり衆議院はすごいわねぇ、もうこんなに並んで…」
「ねぇ、ほんとに…でも今日は晴れてよかったですわねぇ」
「ほんとねぇ!」
そこからどんな話をおばあさんとその女性がしていたかはちょっと記憶にないのだが、おそらくその二人が所属しているコミュニティの世間話をしていたように思う。
時間にしておよそ2分ほどだろうか。70代ほどの女性が、
「じゃあ、そろそろいかないと!また今度ねぇ!」
と言って校門の方へと歩いて行った。
「はいはい!お気をつけてぇ」
おばあさんは列に並びながらその女性を見送ると、孫がおばあさんに聞いた。
「おばあちゃん、今の人、友達?」
「いや…知らない人だったねぇ。誰なんだろう」
「そうかぁ〜」
私は自分の腕をこれでもかというほどに強くつねった。
おい!!!!!!!!!!!!!
おいおいおいおいおいおい!!!!!!!!
おい!!!!!!!!!!!!
しらねぇのかよ!!!!!
めちゃくちゃ仲良さそうに話してたじゃねぇかよ!!
私は腕だけでは心許ないと思い、自分の鼻も強くつねった。
「選挙」というマジメもマジメなイベントにおいて、一寸の笑いさえも起きないと思っていたところにメガトン級の笑いの神様が私をぶん殴りにきていた。
私は恐ろしいと思った。
絶対に笑ってはいけない状況下で、笑いのナチュラルボーンキラーに遭遇してしまうことに。
怖い。怖い。選挙は怖い。
その数分後、私は投票用紙に目当ての名を書き込み、颯爽と投票所を後にしたのだった______________。
あなたもぜひ、選挙に行ってみてほしい。
もし運が悪ければ、あなたにもメガトン級の笑いの神様がぶん殴りにきてくれることだろう。
私はあの出来事以来、「また怖いことが起こるかもしれない」という楽しみを胸にちょっとだけ留めながら、選挙に行くのが楽しみになったとさ…。
おーわりっ!なんだこれ
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