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取材で気持ちを引き出すためのちょっとした質問マナー

取材のとき、意識してやることがある。
相手に質問する前に、自分の仮説っぽいものをポンと置くことだ。

「原稿を書くのにかかる時間って、ぼくは1,000字に1時間くらいかかるんですけど、あなたはどうですか?」

自分の体験でもいいし、こう考えるみたいなことでもいい。世の中一般ではこう言われてますよね、みたいなことでもいい。
それをしないと、自分の名前を言う前に相手の名前を聞くみたいな、マナー違反ぽく感じるからだ。これは人によるだろうし、ぼくはそう思うというだけの話。

実際に、そういう「ポンと置く」があることで「そうじゃないよ」とか、「ここはそうだけど、こっちは違うよ」とか、「そう思うでしょ?でも違うんだなぁ」とか、質問の答えに気持ちがのって出てくることがある。すると、話がいきなり加速する。

昔、といってもチャットツールが当たり前になってるくらいの昔、上司に「寺田さんの質問は答えにくい」と言われたことがある。

「原稿を書くのにかかる時間って、どのくらいですか?」みたいな質問を、唐突にしていたからだ。
「なにか文脈があるならいいのだけど、突然質問されても何を答えてほしいのか、意図がわかりにくい」と言われた。

聞きたいときにすぐ聞けるチャットツールは便利だ。でも、意図を考えていないと相手からほしい答えをもらえない。
以来、ぼくはチャットでの質問に必ず「確認ですが」「提案です」「報告(なにかあればフィードバックください)」といった意図を加えるようにした。すると、上司から「わかりにくい」と言われることはなくなった。

取材のとき、対面で話す相手の表情や声色から、質問の意図をはかることはできる。だから、チャットツールより質問のときに意図を伝えようと努力しなくてもなんとかなったりする。もしかしたら「ポンと置く」がなくても、問題なく気持ちを引き出すことはできるかもしれない。

でも、やっぱり取材相手から何かを教えてもらうのだから、自分から胸襟を開くことがマナーだ。すると、取材相手も「ああ、こういうことを知りたいんだな」と理解してもらえる。
「調子が良いときは、1,000字に20分くらいですね。でも、この前は2時間かかった。なぜなら…」といったふうに、気を聞かせて話を転がしてくれる取材相手もいる。

そして、これは別に取材だけの話じゃないなと思った。

誰かと話をするとき、会議でも雑談でも飲み会でも、「ポンと置く」があると話が転がる。盛り上がる。
気持ちがのった答えを引き出すためには、先に自分から気持ちをのせて質問することが大事。

言葉にすると当たり前な話だけど、その当たり前がマナーだと思うんです。

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