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よしみを通じる

お店にお客様が見えたとします。これこれの品物がほしいのだが、といわれる。ところがあいにくなことにその品物の在庫がない。そういうときに、どう返事をするか。「どうもすいません。切らしております」だけではいかにもあいそがない。「今切らしておりますが、すぐ問屋さんに注文して、あすには必ず取り寄せます」と言えば、お客様も多少は得心されるでしょう。

しかし、なかにはこういう方もおられると思います。「うちにはありませんが、どこそこのお店にはあるかもしれません」と言って近くのお店を紹介する。あるいは電話をかけて尋ねてみるということです。そのようにすればお客様も喜ばれ”親切なお店だな”という感じをもたれると思います。品物を切らしたことが、かえってお店の信用を高める結果になりえるわけです。

しかし、これは相手のお店と仲が悪くては、やりたくてもちょっとできにくい。やはり、日ごろから近所の同業者どうし仲よくしておくというか、いわゆる”よしみ”を通じておくことが大事だということではないでしょうか。

最近はたいへん競争が激しくなってきました。だから、同業者どうし、ともすればお互いを競争相手としてばかり考えるということも起こってくると思います。もちろん競争意識をもつということは必要でしょう。しかし、考えてみれば、だれも相争うために商売をしているわけではありません。だから一方で適正な競争をしつつも、同じ道に携わるお店どうし、お互いによしみを通じていくことが大切になってくると思うのです。

近所に親しく同業のお店ができたからといって、目にカドをたてるのではなく、おおらかに迎える。新しいお店の方も、先輩に対し謙虚な気持ちでいわば”仁義”をきる。そういう好もしい姿、おい客様のお店全体に対する信用を高めることになるでしょう。だから、同業者とよしみを通じている心は、お客様を大事にする心であり、お店の繁栄に結びつく心だと思うのですが、いかがでしょうか。

★今日の気づき★

『自社の繁栄のため?』『お客様のため?』と目的をどこにおいているのかで、行動がまったく違ってくるなぁ〜と気づきをいただきました。お客様のためにと目的を明確にもてていれば、同業のお店とも仲よく付き合うこともできますし、自社で売上がたたなくてもお客様の満足を高めることができます。今日も何のために働くのか明確にしてスタートです。今日も多くの気づきをいただきました。

感謝感謝 拝 -商売心得帖 松下幸之助より-


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