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人を育てるには

お互いの会社、商店が発展し、社会の公器としてさらに光彩を放つようになるためには、やはり社員の訓育といいますか、人間的な成長に、会社としてよりいっそうの努力をすべきだと思います。そういう考えをもって努力している会社に入ってこそ、青年社員の将来というものが、非常に明るく輝くのではないでしょうか。

そして会社はそういう人間的なものの考え方を基本として、社員に正しい商売人としての常識を培養する努力をしていくことが大切。そのためには、まず、商売人として、また社会人として、ものの正しい価値判断ができないようなことでは困ります。ですから会社においては、あらゆる点において正しい価値判断のできる人を養成しなければならないと思うのです。

価値判断が適正ならば、自己判断もできます。自己判断のできない人は、価値判断もできません。ですから、そういうような人が集まっても、それは単なる烏合の衆ということになります。しかし、あらゆる面に、あらゆる場所に、そしてあらゆる時に、価値判断がある程度できるというそういう人々の集まりなら、何ごともきわめてスムーズに運び、繁栄も平和も、これを得るのはむずかしいことではないと思うのです。

ところで、この価値判断をいうものを、いかにして社員に培養するか、これが問題です。全治全能の神様なら、”これの価値はこういうものである”ということを、いともたやすく発見されると思います。しかしわれわれは凡人であって、神様でありません。ですから価値判断はここにあるということを、手に取って教えるすべはありません。

ただ、すべての点で、いつも正しい価値判断が大切であるという意識が養われておれば、ある程度正しい価値判断はできるのではないでしょうか。そうすればある程度失敗なく物事を行うこともできるのではないかと思います。そしてその際には、他の人の意見も取り入れ、みずからの考えと照らしあわせ、より良き考えを培養していくことが大切だと思います。

私どもはお互いに、このような正しい価値判断をするために努力をし、研究し、そして少なくとも社員として価値判断のできる能力を逐次、高めていきたいと思うのです。それがとりもなおさず、個々の人の力となり、そして、国家社会の力となると思うのです。

★今日の気づき★

『社員の訓育といいますか、人間的な成長に、会社としてよりいっそうの努力をすべき』、『会社においては、あらゆる点において正しい価値判断のできる人を養成しなければならない』、『価値判断が適正ならば、自己判断もできます。自己判断のできない人は、価値判断もできません』

ということなので、先のことを考えるより、まず足下の『訓育』を強化しながら仕事を続けていかねば!!と考えを変え行動していこうと思った朝でした。いろいろな壁が出てきますが、この訓育を常に強化していれば、いろいろな問題が出ず進めて行けるのではないかと気づきもありました。

さぁ〜今日の利他の心ではたらきますか!!感謝感謝 拝 

-商売心得帖 松下幸之助より-

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