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新しい時代の値段

商売の仕方にもいろいろありますが、いわゆるかけひきをもってお客さんに相対するということも、昔からある方法の一つだと思います。たとえば、お客さんからある商品の値引きを要求されたとき、適当にかけひきしてお客さんにはこちらが損をしたように思わせながら実は儲けるといった商売をすることも、一面少なくないと思うのです。しかし考えてみますと、これは、徳川時代ならいざ知らず、今日ではいささか時代遅れの好ましくない考え方というべきではないでしょうか。

やはり今日では、商人は自分の信念なり事業観にもとづいて適当利潤というものを確保し、顧客を大事にしつつ商人としての社会的責任を果たしていくことが肝要で、それが社会共通の繁栄に結びつく望ましい姿だと思います。そして、そうした望ましい商売をしていくためには、適当にかけひきをして値段をまけるというのではなく、最初から十分勉強した適当な値段をつけて、それは値切られてもまけない、逆にお客さんを説得し、納得していただくというようなことでなければいけないと思うのです。

その方法で成功している最も顕著な例が百貨店だと思います。今日、百貨店で値を引いてくれという人はありません。しかし、もし百貨店が一つひとつの商品についていちいち値引き交渉に応じるというような商売をしたとすればどうでしょうか。非常な手間と時間がかかって、店員を現在の三倍も必要とするかもしれない。それでは経費が高くついて、結局商品を高く売らないと採算がとれないというようなことになりましょう。つまり今日の百貨店は、商品を適正価格というか、いわゆる定価で売るということによって、その生産性を高め、真にお客さんのためになる商売をすることができているというわけです。

★今日の気づき★

「今なんとしても、、、」「なんとか自分のところだけは」と『狭い視野や短期』で物事を判断をしてしまうと、多少値引きしてでも売上を、、、という判断をしてしまいそうです。しかし『広い視野、長期』で物事を判断すると、そういった行動を取らなくなりそうです。値引きすると値引きしただけ、利益を確保するためにより多くのものを提供しなくてはいけなくなります。より多くのお客様へ物やサービスを提供しなくては会社存続できなくなってしまいます。物やサービスを求めていないお客様へもなんとか理由をつけて提供していかなくてはいけなくなってしまいます。

値を引く→値を引く以上に価値あるサービスを提供する

お客様が求めていることを、商品化、新しいサービス、にして提供し続けていくことに注力していこ〜と今日も多くの気づきをいただきました。

感謝感謝 拝 -商売心得帖 松下幸之助より-


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