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お得意先はわが親戚

結婚シーズンともなれば、かわいいわが娘を嫁がせなければならない親御さんも少なくないことでしょう。とにかくすこやかに、幸せに育ってほしいと念じつつ、一心に手塩にかけてきたわが娘、その娘が立派に成人していま新しく自立の道への第一歩を踏み出す。そんな娘を眺めるとき、両親の胸のうちには、娘を手放す寂しさ、末長い幸せを祈る気持ち、縁あって新しい親戚を得た喜びなど、万感迫る思いとでもいったものが去来しているにちがいありません。

そして、嫁がせたあとは、今後はその嫁ぎ先のことがいろいろと気になります。”婚家のご家族に気に入られているだろうか””元気に励んでいるだろうか”といったことがいついつまでも案じられる。それが世の親の常というものでしょう。

私どもの商売についても、これと同じことがいえるのではないでしょうか。つまり、私どもが日々扱っている商品は、いうなれば長く手塩にかけたわが娘のようなものと考えられます。

だから、商品をお客様にお買いいただくということは、自分の娘を嫁にやるのと同じことで、そのお得意先と自分の店とは、新しく親戚になったことになる。かわいい娘の嫁ぎ先がお得意様であるということになると思うのです。

そう考えますと、そのお得意先のこと、またお納めした商品の具合などが、おのずと気にかかってくるのではないでしょうか。”ご家族の方が気に入って使ってくださるだろうか”とか、”故障していないだろうか”とか、さらには”近くまで来たついでに、ちょっとお寄りして様子を伺ってみよう”というように、自分の娘の嫁ぎ先に対すると同じような感情が、自然に湧き出てくるといえましょう。

そういう思いで日々商売に取り組んでいくならば、お客様とのつながりにも、単なる商売を超えた、より深い信頼関係をいうものがうまれてきます。そうなればお客様にも喜ばれ、ひいてはそれがお店の繁栄にもつながってくると思うのです。

お互い、商品を自分の娘と考え、そこからお得意先をわが親戚、身内と感ずるまでの思いに立って、毎日の商売を営んでいるかどうか、改めて考え直してみたいものです。

★今日の気づき★

サービスや商品を提供して満足してしまっている。目先の目標ばかり追いかけてしまっているとお客様満足を高め続けることが欠落してしまう行動を取り続けてしまいます。『商品やサービスを我が子のように思う』ということは、何となく頭でわかっているつもりでしたが、今日しっくりと腹に落ちたような気がします。

”ご家族の方が気に入って使ってくださるだろうか”とか、”故障していないだろうか”とか、さらには”近くまで来たついでに、ちょっとお寄りして様子を伺ってみよう”

このような心で行動や判断ができるよう点検していくところから今日はスタート。今日も多くの気づきをいただきました。

感謝感謝 拝 -商売心得帖 松下幸之助より-

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