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人づくりは”打つ”ことから

今の世の混乱の原因の一つには、社会の根本となる人間の”人づくり”がなされていない、ということがあるのではないでしょうか。

たとえば、ものの是非を考えるときなどでも、自分を中心に、あるいは自分の団体を中心に、また自分の国を中心にして考えるというのが今日の傾向だと思います。こういうところにも、”人づくり”がなされていないことによる悪影響が現れているのではないかと思います。もちろん、自分のこと、団体のこと、国のことを思う気持ちはたいへん結構なことだと思います。が、それと同じ気持ちがよその人、よその団体、よその国に対してはもてないというところに問題があると思うのです。

また、今の人々が忘れている大切なものに、道義や道徳があります。商売の道にしても、今は道義に欠ける一面があるように思われるのです。たとえば昔は、支払いということにしても、月末にキチンとすませるということにみんなが真剣でした。また、お得意先に対する正しい意味の感謝の念をもつといったような道義心というものに、相当高いものがあったと思うのです。

ところが、戦後はお互いに現金がないので、手形取引をしたのです。これは当時としては、日本再建のためのやむを得ない措置であったと思います。しかしこれは日本が逐次発展していくにつれて改めねばならなかったのです。にもかかわらず、今では逆にこの方法が促進され、それによって経営が安易に流れる傾向もあるようです。こういう姿が物価の騰貴に結びつき、またそれが人心の悪化に結びついていくとも考えられます。

また政治の上にも、国民を育てるもっと強いものが必要ではないかと思います。今の政治には、どちらかというと国民に媚びているような面が多少ともあるようです。この甘やかしが人心悪化の原因ともなり、商売道義の上にも好ましくないない影響を与えているのではないでしょうか。

国民の人心を回復させるには、国民を保護すると同時に、やはり叱咤激励ということも必要でないかと思います。そういうものなくして甘いことばかりいっていたのでは、人づくりはできないでしょう。

名刀は、名工といわれる人が何度もくり返して鋼を打ってこそできるのです。ふところに鋼を入れてあたためていたのではなまった刀ができてしまいます。今は人づくりにおける”打つ”ということがあまり行われていないような気がします。

★今日の気づき★

『人づくり』ということを軸において考えていくと、どうしたらいいのか見えてきます。『人づくり』を軸におくと全てが手法に感じます。今までの行動をふりかえってみると手法が多かったなぁ〜と反省。さっそく軸を『人づくり』ということを意識して行動していきます。

今日も感謝感謝 拝 

-商売心得帖 松下幸之助より-

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