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クーマーイーツは商標侵害?フランク三浦との比較【スマート法律相談】

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

飲食店のテークアウト商品を利用者に届ける宅配一括サービス「クーマーイーツ!」の社会実験が4月10日、熊谷市内で始まった。

とのことです。

新型コロナの影響で飲食店の需要が低下している中、非常によい取り組みだと思いますが、ちょっと心配になったのは、これが商標侵害にあたらないかということです。

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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200413-00000062-minkei-l11.view-000より

明らかに寄せに行っている気もしますが。。。

せっかくよい取り組みでも、全国展開しているブランドの商標侵害となると、想定外の賠償請求を受けかねません。

商標侵害とは

商標権侵害とは、登録商標を使用する正当な権利や理由のない者が、業として、登録商標を登録されている指定商品や指定役務について使用する行為をいいます。

現在、ウーバーイーツの称呼で商標検索をかけると、「ウーバー テクノロジーズ,インコーポレイテッド」を出願人とする3件の出願が確認でき、うち1件は登録済です。

UBER EATS(9,35,38,39,42)登録済
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-079613/B9C24368BF5B3818AFE1030B57A107332A0D4578A548CA45AF56441B5ADF1EE3/40/ja

ウーバーイーツ(9,16,35,38,39,42)審査待ち
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2019-066110/FE8623B8F1F9E3C637494758A280279CB0043CC7898B6513E8832EC45181E783/40/ja

UBER EATS(16)審査待ち
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2019-127937/DE82F33CF3CB7860FCAC2088522E71BD77315692BB7214C34EF8DD206653A6EF/40/ja

審査待ちのものもありますが、登録済の商標が、42類「輸送及び配達サービスの提供」等を指定役務としており、この商標の称呼にウーバーイーツも含まれていることから、この商標の侵害であると主張される可能性はあります。

今回は社会実験とのことなので、「業として」の判断となるかも知れませんし、予め商標権者から許諾を得ている可能性もありますが、仮に紛争となった場合、どのような侵害判断となるのか、検討してみたいと思います。

類似性の判断について

「ウーバーイーツ」と「クーマーイーツ」を比較すると、文字が1文字違いであるだけなので、この点を考えると類似しているという判断につながる可能性が高いです。

ただし、商標の類似性は、単に見た目や読み方が似ているというだけの基準で判断しません。

取引の実情を考慮して、商品・役務に標章を付した場合に、出所の混同が生じるか否かによって判断されることになり、その出所混同の判断にあたって、
商標の見た目(「外観」)
読み方(「称呼」)
一般的な印象(「観念」)

の類似性の検討をすることになります。

裁判になった事例として、「白い恋人」と「面白い恋人」の事件があります。

このケースは和解に終わりましたが、内容を見ると、「面白い恋人」を「白い恋人」と誤認して買ってしまう人が一定数いたため、出所の混同がある程度あったと認定されていたという分析が可能です。

他方で、フランクミュラーのパロディ商品である「フランク三浦」を商標出願したケースでは、最終的に「フランク三浦」の商標登録が認められました。

このケースでは、「呼称は似ているが外見などは大きく異なり、価格帯も大きく異なることから混同するとは考えられない」という判断がなされました。

要するに、価格帯やターゲットが異なるフランク三浦をフランクミュラーと間違えて買う人は多くないと考えられるため、出所の混同が否定されたということです。

今回のケースは

今回のケースがどう判断されるかについては、正直微妙だと思います。クーマーイーツをウーバーイーツと間違えて、本来のウーバーイーツの潜在顧客がクーマーイーツを使ってしまう可能性は低いとは思います。

しかし、ウーバーイーツはあれだけのCMを流し、PRに大量のコストを投下しているわけです。そういったウーバーイーツの知名度にただ乗りするという判断がされれば、商標侵害やあるいは不正競争防止法違反の主張がされる可能性は十分あると思います。

いずれにせよ、社会のためによい取り組みが思わぬ法的トラブルを招かないよう、法務面でのチェックも怠らないことが重要です。

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