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検察官定年延長問題、ツイートの盛り上がりを投票に結びつけるためには

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

5月8日に、反対する野党が欠席する中、自民党、公明党の与党と「疑似与党」の日本維新の会だけで、「検察庁法改正案」が強引に審議入りしたことに対して、ネットで「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグで、昨夜の段階で470万件ものツイートが行われるなど、国民が一斉に反発している。多くの芸能人や文化人が抗議の声を上げている。

今回提出された法案の問題点については他の詳しい解説に委ねます(末尾のリンク参照)が、法案それ自体よりも、むしろ、それに先立つ官邸の人事介入や、閣議決定のみで特定の人物の定年延長を認めたことの方が大きな問題であったと思います。

そもそも、検察官全体の定年延長についてはそれなりの理由があるとしても、「次長検事と検事長は、内閣が定めた事情がある場合、1年以内の期間、引き続き次長検事又は検事長として仕事ができる」というルールがなぜ必要なのか。

次長検事の検事長の役割は以下の通りです。

次長検事は,最高検察庁に属し,検事総長を補佐し,検事総長に事故のあるとき,又は検事総長が欠けたときは,その職務を行います。
検事長は,高等検察庁の長として庁務を掌理し,かつ,その庁並びにその庁の対応する裁判所の管轄区域内にある地方検察庁及び区検察庁の職員を指揮監督しています。

次長検事も検事長もいわば管理職のポストで、特定事件の対応や指揮等のため定年延長を認める必要性が想定できず、また、具体的に次長検事や検事長が定年退官する際に具体的業務に支障が生じたという事例も指摘されていません。

黒川検事長の定年の半年延長を決めた閣議決定は1月31日になされましたが、この数か月で実際に定年延長がなければ具体的な業務に支障が生じたという事態があったのかも定かではありません。

ツイートは投票ではない

今回、数百万という大量のリツイートで政治的なトピックがシェアされ、影響力のある有名人も意思表明をしているところですが、残念ながら、今年は衆院・参院とも国政選挙がない年です。
解散がなければ衆院は来年10月、参院通常選挙は再来年の夏です。

ツイートやSNS投稿は投票ではありませんが、すでに選挙運動として一般有権者に解禁されています。

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今までは、政治的な意見をSNSで書くこと自体、「痛い人」「変わった人」というイメージがあり、選挙運動も投票行動もいまいち一般に(特に若い世代に)浸透していなかったと思います。

しかし、緊急時の行政のあり方や国のリソースをどのように使っていくのかということは政治を抜きにしては決められませんし、投票がなければ政治が正しい意思決定プロセスとして使いものにならなくなってしまいます。

普段政治のことについて語らない有名人が政治的な発言をすることを中傷する雰囲気もありますが、おかしなこと、納得いかないことについて各自の意見を持つこと、そういったトピックについて冷静に議論ができる世の中に変わっていくことが、次の選挙につながっていくのだと思います。

(参考)

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