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サブリース契約を規制する賃貸住宅管理業の新法成立(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案)

こんにちは、スマート法律相談の弁護士の勝部です。

シェアハウス「かぼちゃの馬車」破綻などで社会問題となっていたサブリース契約を規制するための法律「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」が6月12日に参院可決し、成立しました。

施行日は未定です(公布日から一年以内)。

サブリースとは

サブリースは賃貸物件を所有者から借り上げ、入居者にまた貸しする事業形態をいい、所有者からサブリース業者への賃貸がマスターリース契約、サブリース業者から入居者への賃貸がサブリース契約に該当します。

サブリース業者が所有者と入居者の間に入る形となりますが、このような契約形態とする理由は、賃貸不動産の空室リスクの負担軽減です。

所有者は、通常、自身で入居者を集めて収益を得る必要がありますが、これは簡単なことではありません。

収益が見込めなければ賃貸アパート経営をしようとする二の足を踏んでしまいます。

そこで、サブリース業者がいったん物件を借り上げ、入居者を募る形を取ります。
実際の入居者がいなくても、サブリース業者が借りている形となっているので、所有者には賃料が払われます。
このような契約としておけば、所有者は家賃を保証してもらっているような形となり、安心して賃貸アパート経営に参入することができるようになります。

何が問題か?

このようなサブリース契約が常に守られれば所有者にとっては得しかないのですが、サブリース業者ももうからなければこんな契約を続けるメリットはないわけです。

そこで、収益が悪化した場合に賃料の支払いが止まってしまった場合に家賃の支払いが停止されてしまうといったことが起こります。

家賃の支払いを止める条項が契約になくても、サブリース業者が倒産してしまえば、結局家賃は入ってこないことになり、所有者は自分で空室を埋めなければいけないことになります。

不動産オーナーの中には億を超える借金をして不動産を購入している人もいますが、空室が続けばローンを支払うことができずに破産を余儀なくされてしまうことになります。

新法の中身

大きく分けると、勧誘や重要事項説明に関する規制と、賃貸住宅管理業に係る登録制度が主な内容となります。

例えば、勧誘時に故意に事実を告げない、又は不実を告げる等の行為の禁止や、賃貸借契約の締結前の重要事項説明が義務づけられます。

また、賃貸住宅管理業を営もうとする者について、国土交通大臣の登録が義務づけられます。

規制の内容を見ると、金融商品販売の規制に近いものとなりそうですが、サブリースも、不動産物件を収益化して手数料を取るというビジネスなので、規制の方法としては同種の方向性になってくるのでしょう。

サブリースの問題点は、販売業者と顧客の利益が相反しやすい点にあると思います。

販売する方はローンを組んででも不動産を売ってナンボの商売で、物件に魅力がない、賃貸需要が落ち込んでいる、で諦めてしまっては売上(販売手数料etc)が入ってきません。

そこで、サブリースという形態にして、収益見込みを立ててしまえば販売しやすくなりますが、問題は、ここで事実に反するシミュレーションや、誇張されたセールストークが入ってこないかです。

今回のような新法ができても、契約内容に合理性があるかどうかまでは判断の対象となりません。

もう一歩踏み込んで、マスターリース契約の根拠となるシミュレーションに不動産鑑定士の意見を反映させるような規制とした方が好ましかったのではないかとも思います。

しかし、最終的には「もうかる・損する」は誰も保証してくれるわけではなく、自己責任で判断しなければならないことです。
どんなに営業トークが巧みで、提示された数字が魅力的であっても、最終的には自分が客観的な資料をもとに買う・買わないの判断をしなければいけないのは今後も変わらないのではないかと思います。

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