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法律+ブロックチェーンは日本でも実現するか

こんにちは、スマート法律相談の弁護士の勝部です。

今年も残すところあと数日となりました。

今年は新しいサービス、「スマート法律相談」をリリースすることができ、一つの目標を達成することができました。お力添えを頂いた多くの方に感謝を申し上げたいと思います。

今後も事業経験を重ねながら、自分自身成長するとともに、まだまだこれからのスマート法律相談を発展させるよう頑張っていきたいと思います。

さて、今年最後の話題は、ブロックチェーンとリーガルサービスについてです。

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私自身にとって、一番最初の事業経験は2017年の仮想通貨交換業登録申請と、仮想通貨交換システムの開発でした。

日本ではちょうど2年前の今頃に仮想通貨(暗号資産)の大ブームがありましたが、その直後の交換所での流出事故などがあり、今ではすっかり下火になったように見えます。

来年から、暗号資産に関する資金決済法・金商法の改正法施行を控えており、仮想通貨バブルとはまた別のブロックチェーンブームの到来を期待したいところです。

対照的に、米国や中国ではデジタルアセットに関連する新しいサービスが数多く生まれており、盛り上がりを見せています。

例えば、ブロックチェーンを利用した法律プラットフォーム「OpenLaw」は、ブロックチェーンの仕組みを応用したリーガルプラットフォームサービスです。

今回は、このサービスを紹介するとともに、日本国内での今後の動きについて予想していきたいと思います。

OpenLawはどんなサービスか

同社のウェブサイトを見ると、スマートコントラクトの枠組みを利用して、契約書の作成・保存から自動執行までを共通プラットフォーム内で完結させるサービスのようです。

弁護士などの文系人材でも簡単にコーディングできるプログラミング言語を利用するようです。

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OpenLawのトップページ(https://www.openlaw.io/)から抜粋しています。

見たところjsやpythonに近い感じです。インスタンスを作って、サービスから必要なテンプレートを使って文書を作成しているようですが、ウェブ上のサーバーがサービスをAPI化して提供し、サービス利用者が提供者に必要なコストを支払う。その支払いはブロックチェーンに紐づけられたデジタルアセットで完了する。そんな世界観を目指しているようです。

日本での普及シナリオ

日本において、いきなり全法分野に共通するブロックチェーンのエコシステムが普及することは考えにくいですが、金融、建設、不動産など、特定分野の業界内で、各ビジネスエンティティがブロックチェーン内で自律的に仕事を回していくというのはそう遠くない未来に実現しそうです。

例えば、建築分野で、資材供給や人材派遣などの取引を共通プラットフォーム内でやり取りするような世界観です。

スマートコントラクトは、完全デジタルで事が済まない場合のコストの跳ね上がりが利便性を損ねてしまいがちです。例えば、イーサを使ったスマートコントラクトで、自動執行ノードに執行を依頼すると、数百万円のコストがかかってしまうことがあります。

そういった事象が発生しにくいユースケースでは十分実用性を担保できると思います。

例えば、手形不渡りを出すと銀行を介した信用取引ができなくなってしまうから不渡りを出さないように当事者が尽力することに似ています。

業界プラットフォーム内でデフォルトを起こしたら業界プラットフォームから締め出されるというルールにすれば実用的な仕組みが構築できそうです。

すでに、IBMやマイクロソフトがブロックチェーンプラットフォームを提供していますから、一つ成功事例が生まれればいろいろな業界が追従すると思います。

時期的にはDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現とほぼ同時期だと思いますが、このタイミングで業務のデジタル化・効率化に成功できている会社は一気に競合と差別化ができる可能性があります。

また、各ノードとして参加する各会社にも、プラットフォームの共通言語となるプログラム言語の記述に長けた人材の調達が必須命題になります。乗り遅れるとノード参加会社の下請けにならざるを得ないという状況となる可能性もあります。

他の暗号資産・ブロックチェーンビジネスの今後は?

来年(2020年)に新しい暗号資産関連法案が施行されますが、暗号資産交換業者や金融商品としての暗号資産、STOなどのトークンビジネスがすぐに爆発する可能性はそれほど高くないと見ています。

現在時点で、国内の仮想通貨交換業者(暗号資産交換業者)のほとんどの収益は非常に厳しいものがあります。

新法施行により、例えば取引所型デリバティブの規制が厳しくなったり、レバレッジ比率が低く抑えられたりという状況が加速する可能性がありますから、もう単純に円と暗号資産を交換するというだけのビジネスで大きな収益を上げるという時代ではなくなったように思います。

○○Payが予想以上に普及し、仮想通貨が日本国内で決済手段として実用化される可能性がほぼなくなってしまったという要因もあります。

ブロックチェーントークンについては今後どうなるかまだ分かりませんが、IBMやマイクロソフト等がブロックチェーンリソースを提供していますから、特定のブロックチェーンプロジェクトが急に大ブレイク、という未来もなかなか来なそうです。

要するにブロックチェーン上にどんなサービスを乗せるか、そのサービス内でどのようなポジションを狙うか、というのが今後この業界で重要な戦略になってくるのではないかと思います。

日本でも、リーガルテックやブロックチェーンの今後に期待したいと思います。

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