見出し画像

ロイヤルリムジンの一斉解雇は失業保険の不正受給にあたるのか?

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

自粛要請の影響で売上が激減している例がかなり多く出ていますが、おそらく今の流れだと、自粛に伴って特定の事業の売上を補償するということはしない可能性が高いです。

そんな中でタクシー事業を営むある会社が失業保険受給を前提として従業員全員を解雇したというニュースが話題となっています。

SNS等では、これが不正受給に当たるのではないかということで賛否両論分かれています。

今回の対応は、日本の法制度の中でレイオフ(一時的な解雇)を認めるのと同様な効果を狙ったものです。

当然ですが、特定の従業員を再雇用することを確約して解雇し、失業保険を受給させ、後で再雇用するということは不正受給に当たります。

しかし、今後業績が回復したら再雇用することを検討している、というだけであれば再雇用の確約とまでは言えない可能性もあります。

こういった失業者が失業保険を受給できるのかどうかの判断は今後なされると思いますが、注目したいと思います。

(解雇回避努力義務などの要件を満たさずに解雇が無効になるという方向性での紛争になる可能性もありますが)

2020/4/10追記
下記の記事に東京労働局の見解が書かれておりましたが、やはり、「元の会社に早期に戻ることが約束された状態」では、失業保険の受給資格を満たしていないということでした。しかし、そもそも「約束」というのはどのレベルの約束なのか(確約なのか、口約束レベルでも含むのか)については明確な言及がないので、個別事案で判断は分かれてくるのではないかと。
https://biz-journal.jp/2020/04/post_151166.html

ここからは個人的な意見なので話半分に聞いていただければと思いますが、売上がほぼない状態にまで落ち込んでしまい、今後いつ事態が収束するかも分からない状態で、会社の資産がゼロになるまで、あるいは借金してまで雇用を維持せよというのは、あまりにも酷であると思います。

雇用要調整助成金はすぐに支払われるわけではないですし、もし使っても、休業補償の半分くらいは会社が自腹を切らなければいけない例が多いようです。

漫然と人件費を払い続けて、収束時に文無しになっていたら事業再開は不可能ですから、事業に必要な設備や資金は残しておかなければなりません。

仮に新型コロナの影響を受けている事業のほとんどがこのような趣旨で解雇をすれば雇用保険の積立金(約5兆円)など数か月で吹っ飛んでしまうのは明らかでしょう。

しかし、雇用保険が受給できなければ、いずれは生活保護を受給せざるを得ない人が爆増する可能性もあります。

むしろ、自粛や外出禁止に対して何の手当もない不満が爆発し、意図的に生活保護を受けようと扇動するような輩が出てくることが心配です。

おそらくインフラ系などつぶせないところは支援するでしょうし、財務基盤のしっかりしたところはそう簡単に一斉解雇などしないでしょうが、あのトヨタですら1兆円の融資枠を要請するくらいの状況です。

キャッシュフローの弱い(かつ、自粛によって売上がもろに減る)ところは相当苦しいでしょうし、国も支えるのが難しい現状です。

周りと同じことをしていれば生き残れるという状況ではないので、個別の会社ごとに知恵を絞って生き残りを図っていかざるを得ないのが辛いところです。

LINEチャットボットで法律相談を受け付けています

「スマート法律相談」は法律相談に回答するLINEのAIチャットボットです。
「個別相談」で弁護士に直接質問することもできます。

↓↓↓↓↓ 友だち追加はコチラ ↓↓↓↓↓

画像1

今までの新型コロナに関する法律相談まとめはこちらです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?