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公演中止・チケットの払戻し手続きができなくなった 交渉の方法は?

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

チケット払い戻しについて 行く予定だった3月の劇団四季の公演がコロナのせいで中止になった 返金案内が公式HPに出たので申請をした 返金まで2ヶ月程度かかるので待つように指示された 本日、劇団四季ではなくチケットぴあにて購入した人はチケットぴあからの返金しかできないとメールがきた チケットぴあの方は返金申請の期限が既に切れている 購入履歴はあるがチケット原本は廃棄してしまった チケット原本を劇団四季に郵送すれば返金に応じると書いてある この場合返金は諦めるしかないのか?不満です

旅行や結婚式のキャンセルに伴うキャンセル料については以前記事にしましたが、上記の相談は興行主とチケット販売業者が別のケースです。

公演中止の場合の法的位置づけ

利用規約の定め方が複雑であることもあり、多くの方が誤解しているのですが、相手方都合で旅行や公演が中止になった場合、「返金を受けられる」のが原則であり、「返金を受けられなくなる」のが例外です。

例えば、契約時に「〇〇の場合にはキャンセルできなくなりますよ」「その場合は返金できません(若しくはキャンセル料が違約金として発生します)」ということをきちんと説明され、それに納得して初めて本来発生すべき「返金を受ける権利」が消滅するのです。

また、キャンセル料などの違約金が発生するという合意が有効であったとしても、事業者に生じる平均的な損害を超える違約金の定めは、消費者契約法に反し無効となります。

消費者契約法9条1号は、消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効について「当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの」について、当該超える部分を無効としています。

例えば、飲食店の予約をドタキャンした場合、飲食店は料理を用意し、席を確保して待っていたことにより材料費や得られるべき売上を失うという損害が発生します。
ところが、キャンセルが1週間前であれば、まだ仕入れはしていないでしょうし、別の顧客に食事を提供することにより機会損失の発生を回避できます。

キャンセル料などの違約金は、こういった事情を考慮した上で事業者に生ずる平均的な損害であれば合意できますが、それを超える部分は無効、という扱いになります。

交渉のポイントは?

ポイントは3つあります。

1つは、「返金されない」という条件がきちんと説明されて合意内容になっていたかです。

「ウチは返金しない決まりになっている」「会社のホームページに書いてある」「メールで通知した」だけでは合意として認められない可能性があります。

2つ目として、返金できないという合意が消費者契約法に反して無効でないかです。

返金しない理由として考えられる法律構成は、違約金として徴収する、あるいは、一定期間経過後は請求権を放棄したとみなす、辺りでしょうか。

本件では、チケット保有者がキャンセルを申し出たケースではないので、違約金というより、請求権の消滅という説明の方が妥当しそうですが、そのような合意が消費者契約法に反しないか(消費者に一方的に不利な条項として無効にならないか)が問題となりそうです。
(この辺りは具体的事情によっても変わってくるでしょう)

3つ目として、興行主の説明が不十分で返金を受ける機会を失っていないかという点です。
この点は元記事に書きましたが、やはり具体的事情がどうであったかによって変わってくるでしょう。

この額で裁判をしたり、弁護士に交渉を依頼したり、ということはコスト的に難しいと思いますので、争点を理解した上で自力で交渉したり、調停、あっせんなどの手続きを利用する、ということになると思います。

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リリース時に朝日新聞にも紹介されました!


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