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東京ミネルヴァ法律事務所関連のQ&Aまとめ(1)

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

昨日、東京ミネルヴァ法律事務所の破産の件について記事を書きましたが、スマート法律相談のチャットボットにも関連する質問が多く寄せられました。

このブログでは、よくある質問をまとめます。

【追記】2020/6/30

本件に関してyoutubeチャンネルに解説動画をアップしました。

前提

その前に、本件の事実関係について何点か言及しておきたいと思います。

1 すでに個人弁護士に引継ぎ済?

多くの質問者から、5月ころに「代表者の健康問題のため、東京ミネルヴァ法律事務所の依頼者に対し、別の弁護士(個人)に弁護士が変わる」という連絡があり、書面(委任契約書と思われます)を新たに作った」という発言がありました。

これが事実であれば、委任契約は新たな弁護士に移っていることになるので、弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所の破産は依頼した事件に影響しないことになります。

日弁連の登録を見ると、従来ミネルヴァ法律事務所に所属していた6名の弁護士のうち、5名は他の事務所に移籍等しており、残る弁護士は1名のみです。

しかし、その弁護士も東京ミネルヴァと所在地や電話番号が同じようで、実態がどうなっているか不明です。

2 預り金の行方は?

弁護士・弁護士法人が破産したとしても顧客からの預り金については、適切な分別管理義務が尽くされている限り,信託財産の独立性を第三者に対抗できます。
報道では、回収した過払い金や預り金の一部に不適切な状況があった可能性もありますが、この点は今後の破産手続きが進行するにしたがって明らかになるものと思われます。

3 質問について

【質問】
ミネルヴァに債務整理を委任していましたが、どうすればよいでしょう?

【回答】
弁護士・弁護士法人が破産し、業務を継続できなくなると委任契約が終了します。
任意整理の場合、(1)受任通知送付後で交渉中、(2)一部業者と和解成立、(3)全部業者と和解成立(和解金支払い開始)の場合で状況が異なります。

(1)の場合、委任契約が終了すると弁護士に依頼する前と同じ状態になるため、別の弁護士を探して依頼をする等の対処が必要です(すぐに依頼者本人に連絡が入るかどうかは貸金業者によって異なります。)。
(2)の場合、和解した業者については和解通りに支払いを開始しないと和解契約が効力を失う可能性があります。和解していない業者については、別の弁護士を依頼する等して全社和解できるよう任意整理業務を継続する必要があります。
(3)の場合、弁護士がする業務はほぼすべて終了しており、あとは各業者に弁済金の支払いをするだけの状態なので、和解条項通りに支払いを継続すれば弁護士を探す必要はありません。
弁護士を通して和解金を支払っており、和解書が手元にない場合は、破産した弁護士法人の破産管財人に連絡し、和解書を送付するよう手配する必要があります。

【質問】
自己破産の依頼をして毎月お金を払っていましたが、どうなりますか?

毎月払っていたお金は、破産のための予納金か、弁護士費用の積み立てと思われますが、予納金については預り金として分別管理されているかが問題となります。
分別管理されていれば戻ってくる可能性がありますが、そうでない場合は一般債権者として破産手続きの中で配当を受けなければいけない可能性があります。
弁護士費用の場合、委任契約が終了したことに伴い、一部返金を求めることになることになりますが、戻ってこない場合は破産手続きの中で配当を受けなければいけない可能性があります。

【質問】
債務整理で和解して、毎月お金をミネルヴァに払っています。もうすぐ支払いをしなければいけないのですが、どうしたらよいですか?
ミネルヴァや弁護士会の臨時窓口に電話しても全くつながりません。

和解金を支払っている最中に弁護士との委任契約が終了した場合、一般的には和解書の返還を受け、以降はご自身で直接各貸金業者に弁済をしていくことになります。
債務整理の和解書には、通常2回連続で延滞した場合に一括請求が可能な条項が入っています。
そのため、早急に支払い方法を確認しなければいけませんが、法律事務所の銀行口座に振り込んでも、弁護士が貸金業者に振込をしないと意味がないため、送金を実施できることを確認せずに法律事務所の銀行口座に振り込むことはお勧めしません。
近日中に破産管財人等から連絡があると思いますが、緊急性が高い場合には、直接破産管財人の法律事務所に連絡されることをお勧めします。
また、委任契約が終了しているという前提ですが、貸金業者に直接連絡して弁済することも一つの方法です。

【質問】
債務整理で今まで返済した分はどうなっているか気になる。

債務整理の和解成立後、2回連続で返済を怠ると和解契約が破棄され、依頼者本人に連絡がいく場合もあります。
そのような状況でなければ、これまでの返済はきちんとなされていると思われますが、調査が進まないと確実なことは言えません。

4 まとめ

スマート法律相談で受け付けた質問を見る限りでは、債務整理事件、特に任意整理と個人破産の依頼中だった方が圧倒的に多かったようです。

通常、まずは破産管財人から、郵送等で依頼者への連絡がされ、債権者には債権届け出をするよう通知が行く流れとなります。

しかし、5月に法人から個人の弁護士に事件が移転したという方がかなり多いため、受任事件の管理が適切になされているかも心配なところです。

【追記】

Q&A(2)はこちら

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リリース時に朝日新聞にも紹介されました!


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