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【弁護士が解説】ブラックリスト入り?コロナで家賃が払えません/住居確保給付金について【家賃の常識】

【質問】
新型コロナの影響で、一番困っているのが家賃の支払いです。
色々な給付金の話が出ていますが、私の場合は真っ先に家賃に消えてしまいそうです。

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こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

新型コロナの影響で、家賃滞納の危機に瀕しているケースが多くみられます。
中には今まで家賃の滞納などしたことがない人も。。。

今回は、家賃について知っておいて損はない知識を紹介します。

何か月滞納すると契約は解除されるの?

貸主の立場からすると、「1回でも滞納されたら困る」という感覚でしょうが、実際のケースでは、一度の滞納で明け渡しを求めても認められません。

弁護士として実務に携わっていると、2回の滞納で解約通知を出し、それにもかかわらず3回目の滞納があれば明け渡し裁判というケースが多いように感じます。
(まあ、この辺は貸主の判断もありますが。)

ただ、3か月を過ぎると、家賃を払わずに住み続けるのは難しい。裁判で合法的に追い出されてしまうので、早めに支援を求めることが必要だという。

合法的に「追い出す」という言い方は気になりますが、3か月以上の滞納がリミットという感覚には賛同します。

家賃を払わないとブラックリスト入り?

いわゆるブラックリストなるリストがあるわけではないのですが、家賃を払わなかった履歴があると入居がしづらくなることは事実です。

入居にあたり保証会社を使う場合、保証会社が信販系の信販系の情報機関(CICなど)を使っていることがあります。
この場合、クレジットカードの滞納歴なども含めて事故歴が残ってしまいます。
また、一般社団法人全国賃貸保証業協会(LICC)に加入している賃貸保証会社の保証が入っている場合もあります。
いずれの場合も、延滞等の事故情報は、保証委託契約が終了してから5年間は消えません。

場合によっては賃貸だけでなく、住宅ローンも組みづらくなってしまうので、注意が必要です。

賃料減額請求はできる?

借地借家法には、賃料が不当に高い/安い場合に賃料増減請求を認めています。

借地借家法
(借賃増減請求権)
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

ただし、この請求権が使えるのは、コロナ不況で物件の借り手が減少し、家賃相場が低下した状況が長く続かないと認められないでしょう。

少なくとも今後数か月で賃料減額請求ができる状況にはならないのではないでしょうか。

大家と直接交渉すると退去を免れる?

真偽は確認できておりませんが、管理会社からは減額NG、しかし大家からは減額OKという返事があったというツイートです。

このケースは管理会社が大家に減額申し入れを伝えていなかったケースで、大変な背信行為であるといえます。
このような悪質な管理会社は少ないと思いますが、大家の中には「退去されるくらいなら」と交渉に応じるケースもある可能性があります。

まあ、どっちもありえますね。

借り手がすぐつく物件かどうか、事業物件か居室か、敷金や保証金をどれくらい入れているか、保証はついているか、などのファクターを考慮した損得判断になると思います。

最大9カ月分の家賃を支給、「住居確保給付金」

住居確保給付金は、一定の要件を満たせば、家賃相当額を自治体が支給する制度です。具体的には入居者側が申請を行い、家賃が直接、貸主(大家)の口座に振り込まれます。

https://www.rakumachi.jp/news/column/258923

新型コロナの影響で条件が一部緩和されています。

今後救済策はあるか

諸外国ではすでに法律で、賃料の延滞金請求や契約の解除を規制しています。ドイツでは、6カ月間の賃貸住宅の契約解除が禁止されていて、さらに賃料免除まで適用されています。
アメリカでは家賃の免除はありませんが、3カ月間の滞納について延滞利息請求が禁止され、4カ月目も契約解除禁止が指示されています。
契約解除はそのまま「住む場所を失う」ことになります。生活の根底と言える住宅を失えば、仕事を探すにも困るでしょう。米英独が規制を出しているので、日本も追従して、解除を制限する施策を出す可能性が高いと思っています。

このままコロナ自粛が長引けば、家賃が払えないケースが増えることは確実です。
家賃収入が減れば、家主も借入金を返済できず、物件を手放したり、最悪の場合は破産ということになります。
そうすると、値崩れした物件が大量に市中に出るようになり、経済への大きな打撃となります。

そのような状況からすると、今後貸主・借主に対する何らかの措置がなされる可能性もありますが、現時点で状況はかなり流動的です。

まずは個人個人が正確な情報収集をして状況を悪化させないよう対応していくことが重要になってくるのではないでしょうか。

2020/04/22追記
こういった発表もあったようです。

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