吉村知事の躍進でパチンコ関連の法制度はどうなる?
こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。
吉村知事はこれまでにも、国がパチンコをギャンブルと認めず、賭博ではなく「遊技」として位置づけ、何ら規制のない現状を問題視してきた。
新型コロナ禍で大阪府の吉村知事に注目が集まっていますが、その要因となったのが、パチンコ店に対する自粛要請と「大阪モデル」と言われる出口戦略でしょう。
吉村知事の人気の秘密は
吉村知事の評価が高まっている要因は、意思決定プロセスを可能な限り分かりやすく伝えようとする姿勢ではないでしょうか。
例えば、大阪モデルは「感染経路不明の患者数」「検査を受けた人のうちの陽性者の割合」「重症患者の受け入れ病床の使用率」などをベンチマークとし、一定の数値を達成できれば段階的に休業要請を解除していこうというもので、客観的でわかりやすいものです。
また、達成度に応じて、赤青黄のライトアップをするというのも一体感を醸成するのに効果的です。
太陽の塔と通天閣以外でも同様のライトアップをする動きがあるようなので、要請解除が実現すれば絵になるパフォーマンスにより、ますます知事のイメージが向上するのではないでしょうか。
国政の迷走も一因か
これに対して、国政の側では緊急事態宣言の解除の基準を明確に示すことができていません。
5月14日に基準を明らかにすると発表していますが、そもそも5月6日の時点で明確な基準もなく宣言延長を認めた形になってしまいました。
PCR検査の実施基準や、国民に配布するマスクの発注などでも歯切れの悪い説明に終始しており、透明性のある政権運営ができていない印象を与えてしまいます。
「パチンコは遊戯であって賭博ではない」論
吉村知事は上記の記事からも分かるようにもともと現状のパチンコ規制の在り方に対して批判的ですし、同じ日本維新の会の松井大阪市長も同様の考え方です。
これに対しては、パチンコ規制はグレーでなく違法でもないという主張があります。
刑法
第百八十五条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
パチンコは、あくまで刑法185条ただし書きの「一時の娯楽」であり、風適法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)等の関連法令に従って概ね1万円以内の景品に限っているので合法である、という理屈です。
また、別の記事では、いわゆる三店方式も店舗と買い取り業者らが独立していれば合法であるという政府答弁を引用しています。
問題は三店方式といった形式論ではなく「射幸性」
しかし、上記の議論はすでに昔の議論であり、今の論点は、「換金性の高い特殊景品を用いている点」「勝ち負けの額が1万円を大きく超えている」「多くの依存症を生み出している」という点です。
そもそも、グレーゾーンの存在は業界自体が認めており、現在の状態は様々なロビイングの賜物であるという側面もあります。
ここには、パチンコについて回る”換金システムという矛盾”が如実に表れている。ホールは現在、「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律」(略称・風適法)で「遊技場」と位置づけされ、獲得した玉は日用品などに交換することになっている。しかし実態は、特殊景品に交換し、店の外にある交換所で現金化されることが多い。この現金化は”事実上の賭博”にあたるわけだが、当局の裁量で”黙認”されている。このグレーゾーンの存在が、矛盾というわけだ。
岐阜県遊技業協同組合五〇年史より http://www.gifu777.jp/pdf/50th.pdf
時代遅れの規制が変わるかもしれない
近年はeスポーツの賞金をめぐっても賭博や景品の議論が発生し、結局のところ小手先の技術論で話が終わってしまっている印象です。
パチンコについては三店方式を議論するとややこしくなってしまうので、単純に勝ち負けの額を数千円程度にして、透明性の高い方法で換金する(一時所得もきちんと追跡する)という規制をすれば十分であるように思います。
むしろ店舗外で換金させるので実態が見えにくくなっているという側面があります。
eスポーツについては他の競技スポーツと同様、スポンサーをつけて興行として発展させる方向で議論を整理すればよいと思います。
パチンコ規制の議論は今に始まったものではなく、むしろIR関連法案の影響もあって議論が後退していたような印象もあります。
新型コロナが各方面の規制の在り方を変えるきっかけになるかも知れませんね。
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リリース時に朝日新聞にも紹介されました!
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