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「吉村府知事にインサイダー疑惑浮上」というのはいくら何でもミスリーディングでは

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

すっかり世間では「お騒がせ知事」と酷評される吉村府知事だが、ここへきて「お騒がせ」では済まされない疑惑が浮上した。吉村府知事が会見前に情報漏洩し、不当に株を売買する「インサイダー取引」を招いた、との疑念が湧き上がっているのだ。

タイトルで興味を引きたいという意図は分かるものの、さすがにこれがインサイダーというのは事実を正確に伝えているとはいいがたいように思います。

内容自体も、タイトルはインサイダー疑惑ですが、よく読むと「インサイダー行為を助長」と内容が変わり、最後には相場操縦や風説の流布に話がすり替わってしまっています。

インサイダー取引は、上場会社等の役員及び主要株主、会社関係者等が上場会社等に係る業務等に関する重要事実を知った場合の取引です(金融商品取引法第166条)。

吉村知事は大阪府と大阪はびきの医療センター(大阪府立の医療施設)の共同研究の結果を発表したに過ぎず、上場会社等の重要事実に基づいて何らかの発表をした事実は報道されている限りではありません。

大阪府と大阪府立病院機構「大阪はびきの医療センター」は4日、新型コロナウイルス陽性の軽症患者41人に対し、「ポビドンヨード」の成分を含むうがい薬で1日4回のうがいを実施したところ、唾液中のウイルスの陽性頻度が低下したとする研究成果を発表した。

インサイダー取引は、刑事罰の対象になる行為(5年以下の懲役、500万円以下の罰金またはその両方)ですから(金融商品取引法第197条の2第13号・第15号)、根拠もなくインサイダー取引への関与があった旨の報道をしてしまうと名誉棄損に該当する可能性もあります。

仮に「相場の変動を図る目的」があったのであれば風説の流布(金融商品取引法第158条)に該当する可能性がありますが、単に未確認の研究結果が報道に乗ったことで、結果として株価が動いたことを取り上げてインサイダー取引や風説の流布を疑うのはさすがに無理があるように思います。

確かに、自治体の広報のあり方としてあの方法が適切だったのかという検証は議論のあるところで、混乱を招いた側面は否定できないところですが、公職に在る者の刑事責任の有無に関するような記事であれば、影響力も考え、もう少し検証して報道すべきだったのではないかと思います。

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リリース時に朝日新聞にも紹介されました!

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