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仲介手数料1か月分は取りすぎ 返還命令を認めた判例の意味は?

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

昨年、賃貸の仲介手数料を1か月分徴収したのは取りすぎであるとして、返還を認めた判例がありました。

 判決は、1カ月分を請求するには「仲介依頼の前に承諾を得ている必要がある」と指摘。仲介が成立したのは10日と認定し、それまでに男性の承諾がないので無効と判断した。

もともと、国土交通省の告示によると仲介手数料として借主から受け取ることができる上限は0.55か月分(税込)です。

宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して、貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の1.1倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の0.55倍に相当する金額以内とする
「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」令和元年8月30日 国土交通省告示 第493号」

上記の通り、例外として、「当該依頼者の承諾を得ている場合」が定められており、承諾がある場合は1.1か月分を受領してもよいことになっています(貸主と借主から受け取る仲介手数料の上限が1.1か月分ですから、借主から1.1か月分受け取った場合、貸主から仲介手数料を取ることはできません)。

裁判例は、仲介依頼の日までに1.1か月分の仲介手数料を取る承諾を得ていなければいけないのに、そのような承諾を取っていなかったと判断しました。

多くの賃貸借契約では、仲介の契約書と賃貸借の契約書を同時に作成しますが、その時点での承諾では遅かったということですね。

この事件はまだ確定していませんが、このケースと同じように、仲介成立の日までに1.1か月分の仲介手数料を取るとの承諾の立証ができない場合には、返還請求が認められる可能性がありますから、要チェックです。

時効が完成していない場合(改正民法施行後は債権の消滅時効は「権利者が権利を行使することができることを知った時から5年間」となりました)、過去の仲介手数料の返還も認められるかも知れませんね。

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