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【映画感想】「千年女優」〜圧倒的に主人公な思いの強さが胸を打つ〜

こんにちは!
本日は先日新宿ピカデリーでリバイバル上映されていた「千年女優」の感想を書いていきます。

いまだに強烈な人気を誇る今敏監督のアニメ映画の一つですよね。僕は大学生の頃に今敏監督の何回忌かのときに池袋の文芸坐で、監督の劇場公開アニメ一気見フェスみたいので見た以来です。

あの時は同日に連続で他の作品、「パーフェクトブルー」「東京ゴッドファーザーズ」「パプリカ」も初めて見たので本当に衝撃を受けたのを覚えてました。その中でも「千年女優」は雰囲気だけでいうと割とマイルド(?)な作品なので正直衝撃度でいうとそこまで高くなく、記憶からも薄れかかっていました。それでも、なぜかあの時誘ってくれた一緒に見た演劇部のかわいい女の子(付き合ってない)は「千年女優が1番好き!」と言ってたのを思い出してました。

ちなみに新宿ピカデリーでのリバイバル上映最終日とあっても、平日の夜にも関わらずほぼ客席は埋まってました…!

そんな中、改めて見終わった感想、「千年女優めちゃめちゃ面白いじゃねぇか。。最後泣きそうになった、誰だマイルドな作品とか言ってたやつは…!」です。笑

とにかく、もう一回また劇場で見れて良かった、そして改めて見てみたらとんでもなく面白くて感動しました。

基本的な話は記憶のとおりシンプルな話でした。
引退した伝説的な元女優(ちよこさん)のもとに、インタビューをしにくるテレビ番組?の男二人組。その男達と一緒に女優の反省を振り返っていくのだが、ちよこさんは若い頃にほんの少しだけお会いした一目惚れ?した画家の男性のことをずっと忘れられずに生きてきたこと、追いかけ続けてきたことが明らかになる。
タイタニック方式の回想しながら恋愛を覗き見るって感じのお話しです。

とはいえ、タイタニックのように船が沈没するわけでもなく、ディカプリオのようなイケメンが常に登場するわけでもないです。ただ淡々とちよこさんをメインにどの現場でも、撮影でも相手のことを追いかけ続ける姿が映し出されます。

意外な関係性などはありますが、ドラマの部分でジェットコースターのような感情の起伏はなく、割と単純明快なのになぜここまで惹きつけられる映画なのか?
2つ理由があるかなと思っていてそれが千年女優の魅力なんだと個人的には考えました。

一つは、アニメならではの構成と世界観の表現。これは見た人なら誰しもが思うと思うのですが、やはり今敏監督は独特のカット構成が面白い。昔語りが始まったかと思いきや、それはちよこの演じてた映画の役まわりの世界であったりして、現実とフィクションの区別が分からなくなります。この手法は今敏監督は本当に得意です。なのでシンプルな話でも見てるだけで引き込まれる強さがありました。
「パーフェクトブルー」や「パプリカ」はそれらで騙す(騙される?)楽しみがあったのですが、「千年女優」の場合は現実とかフィクションとかどうでもよくて、一貫してちよこさんの好きな人を追いかける思いの強さが描かれます。なので確かに見た目上は現実とフィクションが入り混じるのですが、全てがちよこの本心を映していて、その点で他の作品とは味が違ってくるのだと思いました。(騙しのためには使ってないからマイルド的な?笑)
そしてその点が二つ目の魅力にも繋がります。

二つ目は、やっぱり強い思いを持つ主人公は観客を魅了する!です。
たしかに今敏監督なので表現のことやマッチカットなど語り始めれば語り尽くせない魅力がたくさんあります。
でも個人的には千年女優の一番見た者を掴んで離さない魅力はちよこさんの「思いの強さ」を貫き通す圧倒的な主人公カタルシスだと感じました。もうナルトやルフィと同じです。
最後のちよこさんのセリフ「私は追いかけてる私が好き」、やっぱりこれが胸を打ちます。
それまで大女優として、色んな苦労をしながらも初恋をずっと抱き続けてきたちよこさん。途中本望ではない結婚?もしたりしますが、やっぱりあの人を好きだった自分は捨てられない、信念を死ぬ間際まで貫きました。その姿に観客の僕達は感動しますし、一緒に見てきた(観客と同じ視点だった)記者の男達も実は似た者同士なんだと感じさせて尚更同情せざるを得ない。。自分たちもちよこさんのように初恋、信念を最後まで貫き通したい、そんな気持ちのカタルシスがラストのフィナーレで圧倒的な盛り上げ方で完結するのは鳥肌ものでした。平沢進さんのエンディングへの入りも最高です。

以上の2つが僕が思う千年女優の魅力だと思います。映画館で見たからこそ感動も倍増でしたが自宅で見ても絶対に面白いと思います。見たことない方はぜひ!

おわり

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