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【エッセイ】駆け込みますとも

聞いただけで、苦い思い出がよみがえる名前がある。
ジェットスターがそれだ。ストで9便が欠航になったニュースを見て、利用者に同情しつつ私は5年前の出来事を思い出した。

「O氏がいる間に宮古島に行かない?」

友人に誘われ私は二泊三日で宮古島に行くことになった。O氏は世界的ロボットアニメのプロデューサーで、多忙を極める日々を過ごしていたが、ある時人生に飽きてしまったらしい。
まだ五十代だというのにスパッと業界を引退し、第二の人生を宮古島に求めた。そこで悠々自適の生活でも送ると思いきや、身元を偽ってトイレの清掃員などをしていたというからよくよく変わっている。

だが移住して七年になる頃、今度は人恋しくなったらしい。ふたたび本州に戻ってくることになり、いる間に遊びに行っちゃお、という流れになったのだった。

友人は休みが多く取れたこともあり、一日早く前乗りしていた。私は成田から朝7時半のフライトで追いかける予定だったが、ここでやらかした。
当時住んでいた二子玉川からは始発で間に合うと踏んでいた。しかし駅から第三ターミナルまでの距離が思いのほか長かった。

カウンターについた時には搭乗時間をわずかに過ぎており、これくらいは許されるだろうと高を括ったのも束の間。黒い制服のスタッフに「乗れません」と言われた時のショックを私は忘れない。
東京→宮古島への直行便は一日一便。結局成田に一泊し、翌日のフライトで合流する羽目になった。どうか東京から宮古島に行かれる方はお気をつけて。

さて本州に戻ったO氏は、趣味のツーリングで全国各地を回ったり新たな日々を満喫している。けれど氏のことだからまたどこかに移住するかもしれない。

私も、昨年末もともとの地元である愛知に移住した。

理由は二つ。私の実家は車がないと生活できない田舎町(ちなみに藤井聡太くんの出身地で今街は沸きに沸いている)にある。両親は喜寿と米寿をそれぞれ控え、車を手放すのを機に老人ホームに入りたがっていた。そこで問題となるのが二匹の老猫。

私が引き取れれば問題はないけれど、東京のマンションは賃貸でペット禁止。ならばということで分譲を探し始めたがいかんせん高い。しかも数年前より相場が上がってる!
中古で予算に合う物件を探すもののなかなか見つからず、だんだん都心から離れていき、三浦半島あたりでふと思った。

幸いコロナで打ち合わせもオンラインになり、仕事はほぼ在宅。じゃあどこでもいいのでは?幸い我が地元愛知は不動産が安い。何より近くに住めば両親も安心じゃないか。

そういうわけで急遽愛知に照準を定めた。程なくいい物件が見つかり、多い時は週に三度東京と名古屋を行き来し、二ヶ月しないうちに契約にこぎ着けたときは不動産屋も驚いていた。

そのあたりの顛末をちゃんとNOTEに書こうと思っていたが、色々あるうちに元来のズボラさも加わり、気づけばほとんど更新できずじまい・・・年末駆け込みのような投稿になってしまいすいません。

でも、フォローさせていただいている皆さんの記事はちゃんと楽しみに見ている。卒業や就職の話に微笑ましく思ったり、結婚や同棲の話に興奮したり、東京に来ていたという内容に「あぁ去年だったら色々案内できたのに!」と愛知で地団駄踏んだりしている。

過去記事にメッセージをくださったささかまさん、ありがとうございます。来年は今年よりまめに投稿できるようがんばります。

皆さま、どうか良い年をお迎えください。


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