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忘れられない味

私はコメダ珈琲店の
シロノワールが大好きです。
 
初めて食べたシロノワールの味は
今でも忘れられません。


 
私は二人兄妹で兄がいます。
 
幼い頃から兄のことを羨ましく思っていました。
 
お兄ちゃんだから
最初に習い事をさせてもらえて
 
お兄ちゃんだから
許されることもたくさんあって
 
お兄ちゃんだから
先に何か買ってもらえて

私からするとお兄ちゃんは
私には体験できないことをさせてもらって
特別扱いを受けているように感じていました。

いつもいつもお兄ちゃんだけなんで!?
と不満を持っていました。



けど、兄からしたら
逆のことを言うと思います。
 
私の方がひいきされていたとか・・・
可愛がられていたとか・・・

お互い無い物ねだりです。



小学4年生の頃の夏休み。

自分から何かしたい!と滅多に言わない私が
おばあちゃんの家に泊まりにいきたいと母に願いしました。

そして1週間ほど名古屋市のおばあちゃんの家に
泊まりに行ったのです。

いつもと違う環境で
大好きなおばあちゃんと一緒にいられて
その1週間はとっても新鮮で
毎日ワクワクしっぱなしでした。

毎日お小遣いの100円を貰ってそれを握り締めて、
知らない道を探検しながら駄菓子屋さんに行っていました。

今日は何にしようか、
ワクワクしながら選んでいたことを今でも覚えています。



私が住んでいる近所の駄菓子屋さんと
置いてある商品はほとんど変わらないのに
その一週間通った駄菓子屋さんで買うお菓子は格別でした。

そんな楽しい毎日だったから、1週間なんてあっという間で、とうとう家に帰る日が来ました。

家に帰ることが嫌ではないんだけど、
おばあちゃんと離れることが寂しかったし、おばあちゃんも寂しくならないかと思うとさらに寂しくなりました。



その帰り道、お母さんが
「コーヒー屋さんに行こうか」
と連れて行ってくれました。

その喫茶店で
お母さんが頼んでくれたのが
丸い大きなホットケーキのような形の
あったかいパンの上に
つめたーいソフトクリームが乗っている
コメダ珈琲のシロノワールでした。

初めて見るケーキなのかパンなのかアイスなのかわからないスイーツに、めちゃくちゃ嬉しくて、あのときの私の目はきっとキラキラ輝いていたはずです。

お母さんがシロノワールに
メープルシロップをたっぷりかけてくれて、お皿に取り分けてくれました。

「お兄ちゃんには内緒だよ」
 
お母さんがそう言って
シロノワールを二人で一緒に食べました。

いつも優しいお母さんだけど
その時はさらに優しくて・・・

シロノワールの美味しさと母の優しさで
私にとっては、ものすごくあったかくて幸せな味に感じました。

あの時の時間とシロノワールの味は、今でも忘れられられません。

だから今でも大好きな食べ物の一つです。

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