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令和3年度「大阪府農空間づくり推進検討委員会」の委員に任命されました

最近のご報告。
今年度から、大阪府の「農空間づくり推進検討委員会」の委員を任命されました。

この事業は、国の予算を使って、農村部の農業やその景観を守る活動を支援していこうというものです。
今回任命された、自分を含めて他2名の大学教授で構成される委員会の役割は、採用団体の活動成果を見させていただき、「評価」という体裁で、より良い効果を生むためのアイデアを自由に意見させてもらうという感じです。

委員会でおこなう議論としては、
・農空間がもついろいろな機能を守るためには?
・環境に良い農業を進めるためには?(有機JAS、GAP等)
・棚田を守る予算
の3つのテーマごとに予算がついており、各団体の活動や行政側の業務について、委員会を通して提言していくものです。

規模としては、総額で大体1億円以上の予算・基金の運用で、長いもので14年くらい取り組まれています。

とても重要な国と大阪府の取り組みなのですが、実際は実施団体のほとんどは高齢化しており、これまでのカタチでは活動を維持していくことが難しいところもあるようです。
農空間の維持には、地元の人たちの多大な時間やマンパワーを割いて、ミーティングや重労働を地道に続けていく必要があります。

また、都市住民がそういった場所に足を運び豊かな自然に親しむコンテンツの提供も大切で、その分野は高齢世代にっとっては苦手分野らしく、対応が難しいという面もあります。

どこでも言われる話ですが、ここでも量的・質的な担い手不足は深刻な問題になっているようです。

大阪府の最北端、豊能町へ

そういう事業に関わらせていただいてるのですが、昨日は第一回目の委員会と、豊能町の牧地区や歌垣地区を視察に行ってきました。

豊能町は京都亀岡市と隣接している、大阪最北部の農村エリアです。山に囲まれ豊かな水に恵まれた地域です。
かつて若い男女が出会いを求めて即興で歌を掛け合っていたという古代の習わしで有名な歌垣山を望みます。今でいうマッチングアプリ的なやつなのかもしれません。

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奥の山が古代の合コンスポット「歌垣山」

まず訪れたのは牧地区です。

ここでは豊能で生まれの地域の農家の方々が、1.2haほどの棚田を含む広大な田畑を維持管理されています。
田畑やため池の草刈り、農水道のメンテナンス、獣害対策などを7、8名の方々で行われています。

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忙しい中、毎週のように会合を開きながら農地を維持されています。最近では、出戻りで30代の新規就農もあったようですが、ほとんどのメンバーは60歳over。

以前は青空市なども開催したりしていたみたいですが、最近では人手不足やコロナの影響もあり、都市部から人を招く活動ができていない状況のようでした。

ただ、これから先の展望を非常に明るくお持ちで、
この豊かな景観を生かした憩いの施設を建て、稲だけではなく様々な花や作物が植わっている景観を作ったり、外部と連携した体験農園プログラムなども実施していきたいと、メインメンバーの方はお話しされていました。

ファミリー休日むけのグリーンツーリズムや
歌垣の伝承に便乗してカップルのデート向けコンテンツを作ったりすると面白いなとか、いろいろポテンシャルは確かにありそう。


次に訪れたのは歌垣山に近いエリア。

ここは有機農業推進の交付金で先進的な農家がGAPの厳しい基準に相当するレベルの有機農業を展開されています。
元々は町の外の人だったその農家さんは、今では地元の人から農地を任されるほどの信頼と実績があるようです。ビニールハウスが何棟もあり、かなり大規模に展開されています。

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この農家さんには、有機農業を志す人たちが技術を学びに来ることもあるそうで、実際にそのエリアは有機農業農家が集まってきているようです。エリア全体で農薬は使わない取り決めをしているので、水源の汚染などもない、純度の高い有機農業をされていました。

環境保全という視点から見ても、有機農業による土壌炭素の固定、極力環境負荷の少ない作物生産など、とても価値の高い活動に取り組まれています。

見渡す限りの平地エリアはほとんど圃場整備されていて、作業効率もとても良さそうでした。地元の信頼さえ得られれば、新規就農するには最高の場所だと感じました。

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いい感じの直売のための小屋もありました。

いざ委員会へ

2つの事例を見せていただいた後は、豊能町役場で委員会。

予定時間を30分も超えるほど盛り上がり、とても有意義な会になりました。
司会を務めていただいた、大阪産業大学の花田眞理子先生の進行がとてもいい空気を作ってくれました。
いろんな委員会に参加させてもらいますが、柔軟で有意義な議論をするためには司会進行の方の技量がとても重要なんだなと感じました。

かなり多方面に議論は展開していましたが、今覚えている話としては、こういった交付金はどうしても使用用途の制限や、受けるための要件が厳しくなりがちなので、今の状況に合わせて変えるところは変えようということでした。

大阪府の方もとても熱意を持って取り組まれているので、ぜひ柔軟な判断をもって、府内の農村地の価値を最大に引き上げていきたいですね。

大阪府関連HP:
https://www.pref.osaka.lg.jp/nosei_seibi/kentouiinkai/noukuukandukuri.html

*正式名称
・農空間がもついろいろな機能を守るためには?
→多面的機能支払交付金(約7100万円)

・棚田を守る予算
→中山間直接支払交付金(未定R3年度途中から開始)
→中山間ふるさと・水と土保全推進事業(8000万円)

・環境に良い農業を進めるためには?(有機JAS、GAP等)
→環境保全型農業調節支払交付金(約150万円)


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