見出し画像

#02_VUCAの時代に必要とされるチェンジマネジメントvol2「企業や個人が生き残るためのアプローチ」

こんにちは。チェンジマネジメントコンサルタントの江田泰高です。

前回のnoteでは、現代はVUCAと呼ばれる変化の激しい時代にあること、そしてこの時代においては、変化に対応できる者こそが生き残ることをお伝えしました。

それでは具体的にどのようなアプローチが有効なのか、このnoteで解説していきます。

前回のnoteは、こちらです。

企業が生き残るために必要な4つのこと

画像1

企業が生き残るためには、大きく4つのことが必要だと考えています。

1つ目は、効率化です。

今ある業務をどれだけ効率的に進めることができるか。これを追求することはすなわち、変化が起こった際に、どれだけ簡単に業務を組み替えられるかにつながります。

元々が複雑なオペレーションでは、何か変化が起こったときに、オペレーションをすぐに変えることできません。変化に対応するためには、オペレーションを可能な限りスマートに、かつ贅肉がとれたリーンな状態にすることが必要になります。

2つ目は、イノベーションです。

イノベーションと聞くと、発明をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、そこまで仰々しいものでなくてもかまいません。イノベーションとは、新しい考え方や新しい試みを積極的にすることです。

もちろん、新しい試みの全てがうまくいくわけではありません。しかしながら、新しい試みの中で1つでも成功するものがあれば、それが種となって発芽して、大きな実をつけることも十分に考えられます。特にこのVUCAの時代、何が大きく花開くかわかりません。積極的にイノベーションを起こすための活動を社内で進めていくことが大事です。

中には、長く受け継いできた伝統を捨てることに、ためらいを覚える方もいるかもしれません。日本にも、昔から長く続いている老舗企業はたくさんあります。例えば旅館を例にあげてみましょう。もしかしたら、200年以上前から同じことをやって成功しているから、このまま続けようと考えているのかもしれません。しかし今はデジタルの発展により、楽天トラベルや一休のようなWeb予約サービスが出ており、消費者はそちらにも注目しています。

DXに全く取り組んでいない企業と、積極的に取り入れている企業では、勝敗は明らかです。負けてしまえば、せっかく受け継いできた良い伝統も廃れてしまいます。伝統を残すためにも、残すべきところは残し、進化すべき部分は積極的にチャレンジすることが必要になります。

3つ目は、コラボレーションです。

すべてのことを社内で解決しようとしても、同じような思考の人が集まっているため、新しい発想はなかなか生まれません。

しかし、別の人と組んで物事を考えてみたり、もしくは全く違う思想に触れたりすることで、誰もが予想しなかった新しい価値を生み出すことができるかもしれません。コラボレーションはイノベーションの可能性を倍増させます。

他者との接点を持ちながら、昔の発想にとらわれない、新しいアイデアを発掘することが大切です。

最後は、多様性のある人材の確保です。

同じ職場や同じ業界にずっといると、なかなか新しい発想は生まれません。ずっと同じ会社にいる人材ばかりだと、その会社での生き方や仕事の回し方が浸透するなど、いい面もあります。ただ、どうしても日常がテンプレート化してしまい、新しいことに取り組む発想が生まれにくくなります。

「新しい風を入れる」とよく言いますが、やはり組織の新陳代謝を高めることが非常に重要です。人材を入れ替えて、違う思考を積極的に取り入れることによって、効率化やイノベーション、コラボレーションのチャンスも増えていきます。

個人が生き残るために必要な4つのこと

037_画像

ここまで、組織が生き残るためにはどうしたらいいかについて話してきました。次に、個人に焦点を当て考えていきます。

個人が生き残るために必要なことは4つあります。

1つ目は、生涯学習を続けることです。

「学校を卒業したのにまた勉強か・・・」と感じる方、たくさんいらっしゃると思います。変化が少なかった時代は、学校で勉強をして、会社で社会のことを学ぶだけで良かったのかも知れません。しかしVUCAの時代においては、取り残されてしまいます。

生涯学習とは、なにも学校の勉強のような小難しいことに限ったことではありません。たとえば20年前には、パソコンはここまで普及しておらず、紙での事務作業が一般的でした。そのとき、いち早くパソコンのスキルを身に付けた人材と、紙に固執し続けた人材で、明暗が分かれることになったのはたやすく想像できると思います。常に学び続け、知識を貪欲に獲得する姿勢が非常に大切です。


2つ目は、差別化、ブランド化です。

この時代、今勤めている会社が、50年後にあるかどうかはわかりません。その産業自体が残っているかすらも不明確だと思います。例えば、自動運転が本当に日本中に広がれば、トラックドライバーやタクシー運転手などの仕事はなくなるかもしれません。そうなれば他のことで稼いでいくしかありません。

今、フリーランスとして活躍する方が非常に増えています。クラウドワークスやランサーズなど、フリーランス向けのマッチングサイトも増えてきています。それらを見ていると、すでにフリーランスとして、ご自身で稼げる能力を身につけて、他者と差別化し、ご自身のブランドを作っている方が多くいらっしゃいます。

「会社で働ければいい」。そんな時代はもう終わったと言っても過言ではありません。どこかのタイミングでフリーランスとして働く機会を得る方は、非常に多いと思います。ご自身としてどういうブランドを作っていくのか、どんな価値を将来的に提供するのかは、常に考えておく必要があります。

周りの人と違うスキルや能力を身に付け、自分を差別化することは非常に大切です。仕事をしながらでも、何定の本も読んで知識を得たり、資格を取ったりご自身のスキルアップすることは十分可能です。直近でフリーランスの道を考えていなくとも、常に差別化やブランド化を意識していただければと思います。

3つ目は、アップデートです。自分自身の能力を学習によってアップデートしていくのはもちろんですが、ブランドについても、1個作ったらそれで終わりではありません。

何度も繰り返しますが、今はVUCAの時代です。時代が変わったときに、同じブランディングが必ずしも社会に刺さるとは限りません。定期的に、自分自身のブランディングはこれでいいのか、自分自身のスキルは役に立つのか、今勉強していることが活きるのかを意識して、ご自身をアップデートすることが重要です。

最後に、多様な視点を受け入れることです。

自分は主観的な存在である。すなわち自分は1つの視点しか持てていないことを常に意識していただきたいです。

1つ例をあげてみましょう。あなたは、満員電車の中にいます。隣の若い方が音楽を聞いています。それに対してあなたは、「うるさい」と思います。

これは、あなたの主観にすぎません。

本人からすると「別にこれはうるさいレベルではない」と感じているかもしれません。周りの方も、特に気になるレベルではないかもしれません。

しかしながら、あなたは「うるさい」と感じている。

これが主観であるということです。間違っているわけではありません。でも他の人は違った見方をしているかもしれない。そのことを、しっかりと認識することが大事です。

自分が考えていることが、他の人からすると違った見方になっていることは、よく起こります。まずは一度引いてみて、「これってどう思うだろうか」「他の人はどう思っているか」を第三者の立場になって考えてみる。自分自身が変わるためにも、周りが変わるためにも重要なことだと思います。

なぜ今、チェンジマネジメントが必要なのか

画像3

ここまで、企業や個人が変化に対応するためにどうすべきかについてお話ししました。ここからは、私が専門領域としている「チェンジマネジメント」についてご説明したいと思います。

「チェンジマネジメント」を初めて提唱したのは、ハーバード大学のジョン・P・コッター教授です。彼の著書『企業変革力』は、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

この中で、ジョン・コッター教授は、「企業の変革に繋がるような大きなプロジェクトは、実は70%失敗する」と述べています。前回、大きく時代が変わろうとする中で、ビジネスモデルの変革やM&Aが増えていることを話しました。しかしそれがスムーズに受け入れられずに失敗しているケースは、非常に多いのです。

それをうまく組織に適応させるために必要なのが、「チェンジマネジメント」です。

組織の中には変革を好まない保守層がたくさんいます。チェンジマネジメントを意識することで、変化を苦手とする社員や、現状維持を希望する社員がうまく適応できるように、変革を効率よく進めていくべきと伝えています。

本書では、組織が変わることだけが目的ではなく、変革はあくまで会社がどんな姿でありたいか、経営のビジョンを実現するための手段であることを解説しています。

変わることは会社にとって目的ではなく、手段。まさしくその通りだと感じます。

しかし、私は1点だけ、腑に落ちないところがありました。チェンジマネジメントが必要なのは「組織」だけではないと思うのです。組織はもちろん変わらなければいけないし、企業として変革にスムーズに対応すること、リーダーシップを磨くことは、もちろん大事だと思います。

しかしVUCAの時代において、「個人」としてどう変わっていくか、どのような形で変化を受け入れていくのか、対応していくのかといった観点が、この本には抜けているように感じました。実際、私に相談してくださるクライアントの中には、「個人のキャリア」に悩んでいる方も多くいらっしゃいました。そこで私は、「チェンジマネジメントコンサルタント」として、組織だけでなく個人の変化への対応について、経営コンサルティングとキャリア指導の2つの側面から知識や経験を積んできました。

今後、このnoteでは組織としてどう変化していくかはもちろん、個人としてVUCAの時代にどう対応するべきかについて、チェンジマネジメントの手法を紹介していきたいと思います。

では、また次回、お楽しみください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?