他人の打ち出した言説を鵜呑みにして納得するキミなんて見たくない

例えば自分と親しい人、身近な人とする。もちろん普通に会話もできるし勉強もできるし、時々遊びに行く。何かに基づいた考えを持っている人。Aとする。

ある日、その人と一緒に動画を見ていた。そこには衒学的とまでは言わぬが、賢い風の装いをした男性が、いかにも真理めいたことを力説している。
A「これだよ! 俺が求めていたのは!」

彼は動画の男性のマネジメントに従い、自分の行動を変えていった。周囲の人間もAの変化を察知し、対応を変えていった。それは側から見れば、良い事に違いないと思えた。

でもあなたは違った。Aを意志薄弱な操り人形としか見れなかった。Aは非常に楽しそうで、いつも周りに人が居る。あなたは自問する、この感情は嫉妬ではなかろうか、と。

さておき、次第にAは成功体験を積み重ね、あなたにもアドバイスめいたモノを繰り出してくるようになる。それは妙に不愉快で、心が拒絶する感覚。

だがしかし、あなたも大体同じ足跡である。今までの人生、見聞きしたモノから取捨選択をし、自己を形成してきた。

その日あなたは夢を見た。地元から出た事がないツアー会社の従業員が、熱心に海外の素晴らしいスポットを教えてくれる。そして実際にそこに行き、旅行雑誌には書くほどではない些細な体験をした。風は地球を巡っていると肌で実感した。

「やあ、親愛なるドイツ国民よ。え? 日本人?」

あと変なおっさんも夢にでてきた。彼は、例え人が既に答えを出した事柄であっても、自分の力で同じ結論を出した場合の方が全然すごいよ――みたいな事を早口で言ってきた。

翌日、あなたは変なおっさんの言説と、自分が最近Aに抱いていた思いを語った。
A「お前も一緒じゃねぇか!」

確かにそうだった。

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