パパ活してたら間違って異世界に召喚されてお詫びとして女神とパパ活してたら人類最強になっていた件(2)

「お姉さん、コーヒーひとつ!」
俺は異世界カフェの椅子に無造作に腰を下ろして言った。
みれいは「信じられない」という表情でこちらを見ている。
クックック……。
俺は今、この場を支配している。
みれいは今、エスコートして欲しいと思ったのだろう。
先に椅子を引いてくれて、注文を聞いてくれて、店員に伝えてくれると思ったのだろう。
しかしだ……、俺は言いたい。
――おじはエスコートなどしない!!
エスコートをしないからこそおじなのだ。
それが、おじの矜恃であり、エスコートをしたらおじではない。それをしたらおじがおじではなくなってしまい、おじの存在意義が……
「あの……」
女性店員が気の毒そうな目でこちらを見て言った。
「ホットですか? アイスですか?」
ゴホッゴホッ……。
俺はわざとらしく咳き込んでから言った。
「いや、すまない、ホットだ」
「ホットですね。かしこまりました」
そう言って、店員は店の奥に消えていった。
みれいはいつの間にか向かい合った椅子に座って、呆れたという様子で勝手にメニューを見ていた。
「みみみ、みれいちゃん……」
「何?」
みれいはこちらを一瞥もしない。
「きょ、今日は、その……」
「顔合わせ」
「そ、そうだよね……、顔合わせ……、だよね……」
俺は心底ガッカリしている風を装う。
これこれ、これだよ! パパ活の醍醐味はこれ。若年の可愛い女の子に冷たくされて落ち込むおじ。若い頃ならこんな風にされないのに、俺も歳とったな、と実感すると共に、そこはかとなく心に吹きすさぶ隙間風を全力で感じる。
ごちそうさまでした……。
感慨に浸っている俺を怪訝な顔で見るみれい。
そして、
「カプチーノ」
……と、一言告げる。
おい、店員ならいないぞ。
とでも言おうものならおじ失格だ。両手のひらをパチパチと叩き店員を呼ぶ。
そして、店員が来たのを確認し、
「カプチーノだ……」
と告げる。
店員は頷いて無言で去っていった。
俺は様式美を作り上げたことに満足し、そろそろみれいに向き合うことにした。
「さて、みれいちゃん……」
「何?」
みれいの態度は相変わらず冷たい。
「僕のこと、どう思う……?」

つづく……𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹

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