引っ越しをしたときのOSS(自動車関連保有手続きのワンストップサービス)での手続き方法を説明する
OSSって事はオープンソースソフトウェアだな、と思った方、そう思うのは当然とは思いますが、今回は違う話です。
今回は日本における車検証記載変更などに使われる行政サービス、自動車関連保有手続きのワンストップサービス(OSS)の解説です。
なんでいきなり前回までSREやらコンサルやらの話をしていたIT屋がこんな話を、と言うことですが、
引っ越しでOSSを利用する
↓
手続きで四苦八苦する
↓
この手順どこかに残しておきたい
↓
じゃあnoteに残そう
↓
まあこのアカウントならIT以外のことも書くと宣言してるからいいか
という流れで書いてみる事にしました。
なお、本記事で全てを説明するので、申し訳ないですが長いです。
そもそもOSSとは?
OSSとは自動車保有関連手続きのワンストップサービスの略です。
自動車取得関連の手続き、もう少しくだいて言うと車検証の発行、更新などに関わる手続きをオンライン上でワンアクションで実施できるという行政サービスです。
そのため、車を所有したことがある人は必ずこのOSSに関係する手続きに関わっているはずですが、多くの人は車のディーラーなどにこの手続きを委託してしまっているため、ほとんど意識していない手続きかと思います。
しかし、ディーラーに頼むまでも無い、というか頼みづらいタイミングでこの手続きに関わるタイミングがあります。
それが、引っ越し。
引っ越しした際には車検証の所有者の住所および主たる使用箇所の項目を更新しなければなりません。
この作業にOSSの手続きが関係してくるわけです。
ということで、今回はOSSのユースケースの一つである「変更登録」を使ってOSS手続きの解説をしていこうと思います。
OSS手続きを解説しているサイトはいくつかあるのですが、2023/7に私が実施した手続きの流れとはちょっと違っているところもあったりするので、一から解説していきます。
OSSを利用しない場合の手続き
ちなみに、OSSを利用しない場合、以下の手続きとなります。
必要書類(保管場所使用承諾証明書等)を集める
警察署に行き、保管場所標章の作成を申請、取得する(いわゆる車庫証明の取得)
保管場所標章を持って、陸運局(東京運輸支局など)に行って、車検証書き換えを実施する
ということで、結構面倒くさいのがおわかりでしょうか。
警察と陸運局のそれぞれに足を運んで申請しないといけないのもさることながら、色々と書類を手書きしないといけないという面倒くささもあります。
これが、OSSを使うとほぼオンラインでできる…のですが、これはこれで別の意味で面倒くさい(というか分かりづらい)面もあります。
ただ、トータルで見たときには、「OSSの方が楽だな」という印象だったことはまず書いておきます。
OSSの申請手続き
ということで、シンプルにOSSの申請手続きを以下に記載します。
機材・環境の準備
マイナンバーカードを手元に用意する
車検証を用意する
ネットバンキングが可能な銀行口座を用意する
Windows10/11のOSがインストールされたPCを用意する
マイナンバーカードリーダーを用意し、セットアップする
ソフトウェアのインストール
jpkiソフトウェアのインストールを実施する
プラグインのインストールを実施する
アドオンのインストールを実施する
申請前の準備を実施する
保管場所使用承諾証明書の準備(賃貸、分譲の駐車場の場合)
お支払い情報登録サービスに登録を実施する
OSSを使った申請を行う
OSSのガイダンスに従い、各種手数料を支払う
各種書類を受け取る
警察で保管場所標章を受け取る(最後の実施でも可)
陸運局で車検証の返納と交付を受ける
という感じです。結構事前にやることが多く、申請する以前にここで心折れる人が多そうな気がします。
ここからは実際のOSSの手続きに沿って解説していきます。
その1 機材・環境準備
マイナンバーカード
まず、何はともあれマイナンバーカードが無いと手続きができません。
色々と問題の多いこのカードですが、とりあえずは地元の役所でマイナンバーカードの発行を受けてください。
また、引っ越し等でマイナンバーカードの住所情報を更新する必要がある場合、更新を実施してください。
更新してあれば、マイナンバーカードがあれば現住所を証明するための資料は不要です。
(というか、多分更新してないと申請受け付けてくれないと思います…)
車検証
マイナンバーカードと共に車検証も用意します。
車検証に記載されている情報がOSS申請の中で必要になります。
ネットバンキングが可能な銀行口座
次にネットバンキングが可能な銀行口座の用意です。
これは無くても手続きはできるのですが、警察署への費用支払いに使えるので、用意しておくことをオススメします。
WindowsPC
銀行口座が用意できたら、WindowsPCの用意です。困ったことにOSSではWindowsPC以外をサポートしていません。
Macでも大丈夫かも、とは思いますが、保証はできかねます。
マイナンバーカードリーダー
PCまで用意できたらマイナンバーカードリーダーを用意します。
私はサンワサプライのこちらを利用、ただし機種は色々選択肢があるので、公式サイトの認定済み機器リストを参考に選定頂くと良いかと。
ソフトウェアインストール
環境整備の最後はインストール祭りです。
まずはjpkiソフトウェア。
次にOSS用ブラウザプラグイン。
最後にアドオン。
この3つを全てインストールしないと、OSSは利用できません。
具体的にはOSSの画面からマイナンバーカードの情報を読み込むときに、読み込みが機能せずエラーになる、という事象が起こります。
jpkiのみインストールしてそれ以外を忘れがちなので、注意しましょう。
なお、プラグインとアドオンにはChromium系ブラウザの指定があるので注意してください。(EdgeかChromeのどちらかでOK)
以上で機材・環境準備は終了です。お疲れ様でした。
すでにここまでで大分疲弊しているかと思いますが、残念ながらまだ申請提出すらしていません。
ここまで用意したら次に申請前の準備です。
その2 申請前の準備
保管場所使用標章
まず、保管場所使用標章を取得するために、以下の書類を作成・取得します。
保管場所使用承諾証明書(貸駐車場・分譲マンションなどの場合)
所在図
配置図
使用承諾書は、貸駐車場の管理者や、マンションの管理会社に依頼すると出してくれます。(費用が必要の場合あり)
所在図は、駐車場と自宅の位置関係を示した図です。
ネットの地図サービスなどを利用して、周囲の道路などを含めてプリントし、駐車場と自宅にマーキングしておけば良いです。
ポイントとしては、駐車場と自宅の位置を両方記載すること、駐車場と自宅の間の距離を記載することです。(大体で良い)
なお、所在図が不要なケースとして、所在図は分譲マンションのように自宅の敷地内に駐車場がある場合は不要、とも読める記載があります。
が、私は分譲マンション敷地内駐車場だからと所在図を付けずに提出したら、書類不足扱いで提出を求められたので、場合によらず一応つけておいた方が良いでしょう。
配置図は駐車場周辺と隣接道路の平面図です。
一軒家であれば恐らく設計図があるのでそれを利用、それ以外の場合は使用承諾書を取得する際に合わせて管理者から取得できると思います。
所在図と配置図については、業界最大手(警視庁)のサイトがわかりやすいかと思います。
お支払い情報登録サービスへの登録
もう一つ準備があります。それは、お支払い情報登録サービスへの登録です。
これは、手数料の支払いをクレカで行うための準備です。
なので、必須では無いですが、面倒くささを省くためにはやっておいたほうがよいでしょう。
ちなみに、保管場所標章取得のための警察への支払いはまた別という微妙さがあるのがイケてませんが、やむなし。
手続きは画面のガイダンスに従って進めれば実施できるかと思います。
ここまで進めたらようやく準備完了、OSSの申請ができます。
その3 OSS申請
OSS申請は申請トップページから「はじめての方」をクリックして進んでいくもよし、「手続きを開始」から進んで行くもよし、ガイドに乗っていけば申請自体は無事終わると思います。
一点注意しないといけないポイントが、添付する画像のサイズ。
官公庁システムあるあるですが、多分200KB強ぐらいしか受け付けません。
かなり画像を切り詰めないと申請できず、これは流石に直して頂きたいところ。
てかケチってないでストレージ増やしてください。重複排除とかすればまあまあデータ量減ると思いますよ?(提案)
なお、この辺については他の方もクレーム上げています。
また、「課税区分」という入力欄がありますが、これはその他しか選択できず、フリーフォーマットでの入力欄が出てきます。
ここには住所変更の場合は「所有者の住所変更、使用者の住所変更、使用の本拠の住所変更」と書く必要がありますが、これもちょっと分かりづらいです。
(調べると出てきますが…参考:OSSマニュアルページ)
一通り記入を完了したら、最後に申請書送信ボタンを押して申請完了です。
その後のOSSの手続きの進み具合は、メールに記載されてくるリンクから確認が可能です。
(トップ画面の「状況の照会」からも可能、というかメールに記載されるリンクがこのページのリンク)
また、申請に問題があると修正依頼が来たりしますが、修正も確認ページから実施できます。
さらに申請が進むと「この手数料を払え」などのアクションを求められますが、通知としてはOSSの申請ステータスが変わった、という事がメールで通知されるだけなので、メール通知が来たら必ず確認ページを見に行きましょう。
警察署手続き関連の支払いの際にはネットバンキング可能な口座があれば、そこから支払いができるので簡単です。
その4 書類の受け取り
OSS申請が完了すると「自動車検査証交付待ち」のステータスになります。
最初交付完了まで待たないといけないのかと思って待ってしまってましたが、この状態で車検証を取りに行けます。
私の場合、書類不備の修正なども含め、3営業日ほどでこのステータスになりました。
ちなみに、書類は郵送で受け取れる的な事が書かれていましたが、私の場合は郵送が選択できないようになっていたため、色々と条件があるようです。(詳しくは調べてませんが)
車検証の交付は管轄の陸運局で実施します。私の場合は鮫洲の東京運輸支局に行きました。
なお、交付の時には受付番号と、当然ながら元の車検証が必要になりますのでご準備を。
申請状況確認のページをスマホで表示してから行くのも良いでしょう。
また、陸運局の管轄が変更になる場合はナンバープレートの交換も必要なので、車で乗り付けましょう。
(要は、ナンバープレート頭の「品川」とか「野田」とかが変わる場合。今のナンバープレートと、申請先の陸運局が異なる場合は管轄変更)
さて、OSSの強みが出るのが陸運局での手続き。
従来の車検証手続き関連は半日かかることを覚悟するのが基本ですが、OSS手続きはとてもスピーディ。
手続きを待っている人も少なく、私の場合はタイミングも良く待ち人数0で対応頂けました。
番号札を取って、呼ばれ、OSS申請は終わっているので車検証を取りに来たことと、受付番号を伝えて車検証を渡してちょっと待ち。
車検証渡しの窓口から呼ばれ、新しい車検証を受け取って完了。証紙を買ったり現地で書類を書いたりすることも無く、10分程度での完了というスピード感。
管轄が違うところからの引っ越しの場合はナンバープレートの交換も必要ですが、今回は不要。
ということでこれにてOSSの手続きは完了…と言いたいところですが、実は一手順抜けています。
その4ー2 ところで保管標章どうした?
はい、OSSを使わない手続きを知っている人なら、この疑問が沸くと思います。
「住所変更って警察で保管標章もらって、陸運局に出して手続きするんじゃ無かったっけ?」
結論から言うと、保管標章を取りに行かなくても車検証はもらえます。
手続き的には保管標章のデータが陸運局に渡っている状態のため、手続きが進んでしまうようで。
ただ、保管標章は警察が預かっている状態なので、ちゃんと警察に行くか送ってもらうかして引き取っておきましょう。
OSSって結局どうなの?
ということで、今回は唐突にOSSの手続きについて説明してみました。
シンプルに感想としては…
面倒だけど、アナログで手続きするよりはかなりマシ
という感想でした。以下にメリデメをまとめてみます。
メリット
陸運局での待ちが無い
警察、陸運局と、あっちこっち行かされる必要は無い
手書きの書類が不要
デメリット
手順のリンクが散逸していて手順が非常にわかりにくい
業者、玄人向けのUIで、フレンドリーさは感じない
まあ、そうそうある作業では無いですが、ディーラーに任せると数万取られるようなので、自分でやる方の参考になればと思います。
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