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改めて、情報を取りに行くことの大切さについて~海外事情をアップデートできていますか~

破綻したアメリカのシリコンバレーバンク(SVB)について、顧客に多くのスタートアップが含まれるということからも、この週末は興味をもってその動向を追いかけていた。

主に Twitter を中心に日英の言語とりまぜで情報を取っていたのだが、これが日本の一般メディアでどのように報道されているのかと思い、改めて今朝の NHKニュースをスマートスピーカーのストリーミングで聴いていたところ、朝7時のニュースでは、スポーツコーナーになる前までの主要ニュースの段階では一言も触れられていなかった。(正午のニュースでは、幾つめかのニュースとして報じられていた)

昼すぎのオンライン会議でこのニュースのことを話したところ、スタートアップと縁があるのに、知らないでいる人がいた。それだけ、日本では重要度が低く関心が薄いニュースであるということの表れなのだろう。アメリカという違う国のことであり、さらにはアメリカの中でもSVBは大手銀行ではなくいわゆる地方銀行の一つにすぎないから、これはやむを得ないのかもしれない。

しかしアメリカでは、これによって取り付け騒ぎが起きて他の銀行も経営破綻に追い込まれ、大統領までが出て信用不安の払拭に躍起になっているほどの出来事だ。このSVBの破綻を受けて、日本の株式市場でも今日は全面的に株価が下がった。

日本ではスタートアップといえばシリコンバレーと言えるほど、シリコンバレーが大きなプレゼンスを誇っているが、そのシリコンバレーのことですら注意しないと日本のニュースではなかなか取り上げられないのだ、ということを改めて今回感じた。

ましてやシリコンバレー以外の世界の動きとなると更に情報は少なくなる。今年はちょうどフランスでフレンチテックの動きが出始めて10周年になるが、その成果についてまとめた記事が日経に掲載されていた。

こうしたフランスのスタートアップのエコシステムの動きについても、日本ではほとんど知られていないと言ってよいレベルの認識に留まるものだろう。現にフランスのオープンイノベーションイベントであるビバテクノロジーについて私自身は関わる側にいるのだが、その知名度や関心の低さを痛感している。

まして、アジアやアフリカあるいは中南米といった各地でのスタートアップ動きについては、ほとんど日本の一般メディアからは情報が入ってこない。実際のアフリカでは、各国で若い人を中心にスタートアップ起業の動きが活発になっているし、それをサポートするVC なども欧米各国を中心に活発に現地に進出している。日本の VC なども、ここ数年で感度の高い人たちがアフリカに行き始めているが、こうした動きもニュースになることは非常に稀だ。

新型コロナウイルスによる移動の制限のために、私たちは海外の情報を非常に取りにくくなる状況が続いた。今ようやく、人の往来が再開し始めているが、残念ながら昨今の海外との往復の航空機の中で日本人が占める割合は以前に比べてとても少ないと感じる。日本発着便なのに、日本語のアナウンスが録音のものすら全く流れないこともあった。一方で日本以外の国の人たちは、いわゆるリベンジ消費のように海外旅行にも行き始めていて、席が取れなかったり、取れても非常に高価であったりしている。

現在、日本では新型コロナウイルスが感染症法上の2類相当から5類にうつされようとし、マスクの着用が今日(3月13日)各自の判断になるといった動きがあり、それが今朝のトップニュースになっていたが、多くの国ではすでに、人々が再び世界を巡り情報を集め新しいビジネスを産むための活動をし始めている。

もちろん、法律上の方針や政府の対応が変わっても、新型コロナウイルス自体が変化しているわけではないので、引き続き必要な配慮・留意をする必要があることに変わりはなく、特に海外渡航に当たっては、以前とは異なる準備や対応が必要だ(こうしたことは、コロナ禍中の海外渡航の状況を数回にわたって「この時期に海外にいくということ」と題して寄稿しているので(一例)、参考になればと思う)。

日本の場合は、加えて円安やインフレの進行による海外旅行の割高感というのがハンデになっているが、コロナ禍のおかげで、たいていの会議はオンラインで済ませることができるというコンセンサスが日本のビジネス界にも生まれている(と信じている)。定型的な文章など簡単な書類作成であれば(守秘義務などの問題がない限り)chatGPT のような AI サービスを使えばよく、こうした仕事に人間がゼロから時間をかけるものではなくなりつつある。こうして生み出された時間や空間の自由を使って、以前よりも世界を見に行くことがやりやすくなる条件は揃っている。外国語の不自由さも、やはり飛躍的に能力が高まった機械翻訳をつかえば、かなりの程度までカバーできるようになったという実感がある。こうした好条件をうまく使って、しばらく遠ざかっていた世界の動きを再びキャッチアップするなら、コロナ禍前よりも格段に実りのあるものに出来る環境は整っているのだ。


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