川端 康夫(アクティブビジョン株式会社 代表取締役)

アクティブビジョン(株) 代表取締役。大手企業とスタートアップ双方の事業創造・成長のサ…

川端 康夫(アクティブビジョン株式会社 代表取締役)

アクティブビジョン(株) 代表取締役。大手企業とスタートアップ双方の事業創造・成長のサポートを手がけ、短期的な戦略コンサルティングの後に必要となる、地味な伴走型の戦術コンサルティングを手がける。 http://www.aktivevision.com  tw:@yasuok10

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    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

最近の記事

日本で生成 AI 導入を阻むもの~生成AIサミットに参加して

先週開催された生成AIサミット(GenAI/SUM)に参加した。 すべてに参加出来たわけではなく、ごく一部のセッションや展示を見ただけだが、その中で印象的だったのが、生成AIのスタートアップに対して投資を行う投資家や成長支援をしている人たちが登壇したセッションだった。 このセッションでは、投資や育成を行う立場から、日本でも生成AIに関連するスタートアップは生まれているものの、アメリカと比べるとその数はまだ限られており、投資先を探すのにも苦労している、という趣旨の発言があっ

    • 営利と非営利の境界線をどう考えるか

      Open AIが非営利組織中心の体制から、営利企業中心の組織体制に変更することが報じられた。 このニュースは、営利と非営利の活動をどのように線引きするかを考える上で非常に興味深い。営利企業になると利潤を追求することが最優先され、倫理的な問題や社会全体の利益が後回しになるという懸念が一般的に持たれるだろう。そして、実際にそうした問題を起こす企業が存在することも事実である。 一方で、非営利組織であれば、こうした問題は解消されるかもしれない。しかし非営利組織は、株式会社などの(

      • 地方の雇用創出をめぐる違和感

        改めて言うまでもなく、日本は少子高齢化が進み、昨今では人手不足によって様々なものやサービスの提供に要する時間が長くなったり、あるいはバス路線の縮小をはじめとしたサービスの「間引き」が常態化し始めている。 これはつまり日本では、雇用の問題、端的には失業が問題にならなくなってきているということだろう。 もちろん、希望する仕事と求人のある仕事とのギャップ、あるいは求人のある仕事の給与・報酬が希望する水準に満たないといった問題は存在する。また、中長期的にはAIが人間の仕事を奪うと

        • 株価下落の犯人は誰か、という犯人探しに意味はあるか

          先週末の日本の株式市場は、史上2番目の下落幅ということで大きく荒れ模様となった。 今年からいわゆる新NISAの制度が始まり、初めて投資を手掛けた人の中には大きなショックを受けている人もいるようだ。ネット証券会社などに電話が殺到しているという記事もあった。 私は金融の専門家ではないが、一生活者として、老後を始めとする将来の生活資金の確保を目的に投資している立場から、今回の株式相場の下落を考えてみたい。 私の友人でも、あまり投資経験が長くない人からは、今回の大きな株式相場の

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        記事

          五輪出場の是非を巡って~2つのケース~

          パリオリンピックに出場する予定であった体操の宮田選手が、喫煙と飲酒をしたということで、JOCや協会の規約違反となり、今回の五輪出場を辞退することになった。 あらかじめ決められたルールに従わなかった以上、何らかの制約を受けることは仕方がないことではある。 一方で、過去に起こした性犯罪に関して、その後更生したとして出場したオランダ人選手が、女性支援団体などからブーイングを受け、また出場に反対する署名を受けるなどといった問題も起きた。 これらのニュースに接していると、とても複

          ルールを守るだけでなく、ルールを変え、そしてルールを創り出せる日本に

          トヨタ自動車の豊田章男会長が「今の日本は頑張ろうという気になれない」という発言をしたというニュースを読んで少々驚いてしまった。 どうやら、ここしばらく報道されていた国交省の型式認定の認証に対する不正の問題に絡んでなされた発言のようであるが、果たしてこうした発言が企業のトップ、特に日本を代表する、どころか世界的な自動車メーカーのトップとしてふさわしいものなのかという疑問を持つ。 この自動車メーカーの不正の問題については私自身、これまでにも取り上げたが、その中でも国交省のルー

          ルールを守るだけでなく、ルールを変え、そしてルールを創り出せる日本に

          最近のニュースから、日本のイノベーションにまつわる状況を考えてみる

          東海道新幹線で保守用の車両が衝突し脱線したために、東京・新大阪間を結ぶ新幹線が終日不通になるというアクシデントがあった。 記事にもあるとおり、新幹線の保守点検に関する問題はここしばらく散発的に続いている。それ以前にはこうしたことはさほど多くはなかったのではないかと思う。 根本的な原因についてはまだ不明だが、一般的に人手不足や熟練技術者が後継者を育てられないまま引退していることに懸念を示す論者もおり、今回もそれが遠因になっている可能性はあるかもしれない。また、こうした点を克

          最近のニュースから、日本のイノベーションにまつわる状況を考えてみる

          映画「関心領域」を観て思う、現代の企業組織と私たちの課題

          遅ればせながら、映画「関心領域」を見てきた。この作品については過去の歴史に絡めて語られることが大変多いと思うが、私が観ながら感じたことは、現代の日本、特に企業のあり方とそこに属する人々との共通性といったもので、落ち着かない気持ちになった。 この映画は収容所の所長である人物、ルドルフ・ヘスが主人公となっているが、ナチスないし国のトップであるヒトラーの名前は出てくるものの、ヒトラー本人については全く触れられないし、収容所の中でどのようなことが行われているかということについても直

          映画「関心領域」を観て思う、現代の企業組織と私たちの課題

          資産運用スキルのレベルが、キャリア選択の幅を大きく変えてしまう時代に

          高卒の求人が増えているという。 背景には、人手不足も手伝って、高卒に対する企業の採用意欲が高まっていることがある。一方で、若年人口が減少しているため、大学にも行きやすくなっているということもあるのだろうか、高卒で就職を希望する人は減っているのだという。 こうして高卒者の採用が人材の取り合いになっていることとも関連し、人手不足という背景もあって、大卒・高卒を問わず、待遇の改善も進んでいる。この待遇改善は課題として認識され、今後対応が進んでいくことになるのだろう。 それにし

          資産運用スキルのレベルが、キャリア選択の幅を大きく変えてしまう時代に

          会社は広義の顧客のもの。議論はまずそこから。

          会社は誰のものか。この問いは、一般的には、従業員のものなのか、それとも所有者・株主のものなのか、という文脈で問われることが多い。 ただ、私自身は営業経験が長いからかもしれないが、昔から、会社は顧客のためにあるものだ、顧客のものだという意識がある。その後、自分が起業してみて、ますますそう思っている。 そもそも、会社が何らかのサービス(商品を含む)を提供し、それによってリターンを得る仕組みであると考えるのであれば、提供するサービスを求めてくれる人、つまり顧客がいないことには会

          会社は広義の顧客のもの。議論はまずそこから。

          「人生後半戦」の泳ぎ方 5周年を迎えて

          ”「人生後半戦」の泳ぎ方”のFacebookグループを始めて、今日6月25日で丸5年が経ちました。スタートは2019年ですから、コロナの約1年前ということになります。 グループにご参加されていない方で、ご関心のある方については、ぜひ Facebook のアカウントからグループに参加登録をしていただければと思います。公開グループですので、基本的にどなたでも参加できます。 もともとこのグループを始めたきっかけは、私自身が早期退職し独立をすることで、改めて働き方について、特にミ

          「人生後半戦」の泳ぎ方 5周年を迎えて

          AIがシンギュラリティを迎える時代に人間は何をするのか

          ちょうど、自分の人生を振り返る節目に差し掛かったこともあり、この先、自分はどんなことをしていこうかと改めて考えていた。 特に昨今、AIが人間の仕事の多くを肩代わりするのではないかと言われる、そんな時代に、果たしてこの先は自分は何をやったら良いのだろうか。記事でいう「AIプルーフ(耐AI性)」のある仕事とは何か。これはすでに手あかがついたテーマではあるが、改めて考えてみる。 単に自分の得意なことやこれまでやってきたことをベースに考えても、それがAIでもできることであるならば

          AIがシンギュラリティを迎える時代に人間は何をするのか

          構造改革待ったなしの地域公共交通機関 ~自治体・住民・周辺産業の意識は追いついているか~

          熊本県の公共交通機関が運賃収受機器の更新にあたり、交通系 IC カードの対応を止める決断を下した。一度交通系ICカードに対応した後でそれをやめるのは全国初ということだ。  せっかく普及した交通系 IC カードでもあり、地元の人からは不便になるという不満をもらす声もSNS などで見かけた。 これにはやむを得ない事情もあるだろうと思う。1つには 交通系 IC カードは 日本独自の規格であり、一方でクレジットカードのタッチ決済の対応が進み、これは国際的な共通化が図られている。最

          構造改革待ったなしの地域公共交通機関 ~自治体・住民・周辺産業の意識は追いついているか~

          働いて稼ぐ(だけ)の時代の終焉〜起業にしか経済的価値と社会的価値の両立する働き方が残されないのかも〜

          やや旧聞に属するが、静岡県の川勝(元)知事が 職業差別的な発言をしたということで問題になり辞任した。 彼の発言の不適切さは明らかだと筆者は考えるが、好意的に補足して解釈するならば「世の中には様々な仕事があり、牛を飼うような仕事や物を作る仕事もある一方で、県庁職員のようにそうした仕事がうまくいくように頭を使う仕事もある。」ということだろう。様々な役割を果たす無数の職業をそれぞれの人が担うことによってこの社会全体が成り立っているのであって、どの職業が(それが法や道徳に反するよう

          働いて稼ぐ(だけ)の時代の終焉〜起業にしか経済的価値と社会的価値の両立する働き方が残されないのかも〜

          政治資金問題と半世紀前の出来事

          自民党の政治資金問題が、昨年末頃から毎日ニュースに取り上げられている。 先にお断りしておくと、当然のことながら、私はこうした不透明な政治資金の流れは、その党派を問わず、良しとする立場ではない。 ただ、報道の内容や、国会での野党による与党自民党への追求には、本質をついていない違和感を感じざるを得ない。その理由は、政治資金が何に使われ、誰が手にしているのか、なぜそういう事態が起こるのか、という点について、誰も触れようとしていない、と感じるからだ。 これに関して思い出されるの

          日本人相手のビジネスの、終わりの始まり

          少し前であるが イトーヨーカドーが一部の地域から 店舗を撤退するということが ニュースになっていた。 イトーヨーカドーにとっては経営的に見て、北海道・東北・信越は採算が合わない地域になっている、ということになる。もちろん、イオンは違う戦略を取って店舗網を維持しているので、一般論として採算が合わないとは言えない。ただ、それも今後はどうなるのか、という点は気にかかる。  日本の人口が減り続けているのであるから、こうした判断は経営的に見れば 妥当なものであると言えるだろうし、今

          日本人相手のビジネスの、終わりの始まり