見出し画像

仄暗き洞窟/ノーマルバトル1

Tr3-1 仄暗き洞窟

オクトパストラベラーのダンジョン曲は主に作曲者の趣味趣向で過剰に叙情的なものが多くなっております(笑)
ダンジョンってやはりフィールドと比べて光が閉ざされた場所なので、必然的に音楽も暗く怪しい、怖い感じにする方向が一般的なのかなと思いますが、僕自身がやはり幼い頃から叙情的なダンジョン曲に胸をときめかせて育ってきたので、その影響が色濃く出ていると思います。

この仄暗き洞窟はまさに自分の中の叙情系ダンジョン曲の王道といったイメージで作っており、冒頭のメロディはフルートより一段階音域の低いアルトフルートという楽器で吹いてもらっています。
ちなみにもちろん坂本さん演奏です!坂本さんはなんとフルート、ピッコロ、アルトフルートに加えて、超レア楽器のバスフルートまで持ってるのです!(バスフルートはレコーディングの現場で使われる機会がマジで超レアレベルなので、楽器レンタルで対応される方がほとんどだそうです。)

若干話が逸れましたが、この曲はそのアルトフルートのなんとも言えない朗々とした美しさを聞いて欲しい楽曲で、音域が低いからこそフルート本来の持つ煌びやかさではなく、儚さとか朧げな感じを表現出来たのではないかと思っています。

その後のストリングスがメロディとして入ってくる部分も、実はヴァイオリンの最低音域からスタートするんですよね、この曲はとにかく普段高音域を担当する楽器がひたすら低音域で朗々と歌い上げる様を楽しんで欲しい楽曲になっています。


Tr3-2 ノーマルバトル1

1の楽曲解説の際にも書いたような記憶があるんですが、ゲームをプレイし始めて一番最初に聞く汎用バトル楽曲は、そのゲームの「顔」であらねばならないと思っていて、なのでこの曲もそうなれるよう全楽曲の中でTOPクラスの熱量を持って作曲に臨んだと言っても過言ではないかもしれません。

また、これらの汎用バトル曲に関しては、メインテーマと同様に「変えすぎてもいけない曲」という風に考えていて、特に1のバトル曲がユーザーの皆さんにある程度好評を頂いていた手応えがあったので、ガッカリされてしまう事を一番恐れている部分でもありました、それだけにどの部分を変えて、どの部分をテイストとして引き継ぐか、かなり繊細に考えた楽曲でもあります。

なので、全体の構成というか、アンサンブル感は1のバトル1を踏襲する形になっています。オクトパストラベラーのバトル楽曲自体が、既にコンテンツのリリースから5年という月日を経て、ユーザーの皆さんの中に既にフォーマットのような固定イメージがなんとなく出来上がりつつあるんじゃないかなと考えていて、今回はまずそこに沿ったところからスタートするのが良いだろう、と思いました。

その上で、音楽の構成に関してはA→B形式を2回繰り返すというシンプルな形にしてみました。
1のバトル1はA→B→Cという、いわゆるポップス的な展開でしたので、この部分に於いて1との明確な差別化を図ったと言えると思います。

また変化としてはもう一つ、サビでトランペットがメロを取っている部分も挙げられるかなと思います。
これは「決戦2」にも共通する事なのですが、2のバトル曲の象徴的な部分としてこのトランペットをフューチャーした形を取っています。

その他の部分に関しては、例えばAメロでストリングスがメロを取っているのは1から踏襲していて、1と同じく伴奏のストリングスとは別にメロ単体でストリングスをダビングする形でレコーディングしていますし、
全体的なモチーフとして少しバロック音楽的というか(1:47〜)、そういったモチーフは踏襲する形にしています。

そんなこんなで、「変える」部分と、「変えない」部分どちらも意識して作った楽曲ですが、最終的にはそれを「進化」と捉えるのか、「退化」と捉えるのかはもはや好みの問題なのかな、とも思っていて、
シリーズを通して、皆さんのお気に入りの曲を見つけてもらえるのが一番良いのかな、と思っています。

あ、「変えない」という意味ではもう一つ大事なポイントとして、
イントロを1のものと揃えています、これはきっと気付いた方多いんじゃなかったでしょうか。
細かい部分ですが、世界観は違えど、ナンバリングタイトルなんだなという感じを少しでも味わって頂けていたら嬉しいです。

それと、特にバトル曲に関しては楽曲名にもこだわりを持っていて、1の時は「バトル1」とした楽曲名を、今回はそれに被らない形で「ノーマルバトル1」としました。
1の楽曲解説でも触れたように、オクトパストラベラーというタイトルは古き良きJRPGをリスペクトしたタイトルですので、そのシンプルな楽曲名に奥深さを感じるスタイルを大事にしたいなと思い、宮内Dとあれじゃない、これじゃない、と議論を戦わせた末、このタイトルに落ち着いたという経緯があります(笑)

折角なので、ここでボツになったタイトル案をご紹介してみます。

「戦い1」
「闘い」
「接敵」
「戦闘1」
「通常戦闘1」
「闘いの時」
「戦いの旋律」
「旅人たちの闘い」
「戦闘開始!」
「思いを乗せて」
「エンカウント」
「オーバーキル」

という過程を経て、「ノーマルバトル1」に落ち着きましたとさ(笑)


サントラ購入はこちらから!

https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/octopathtraveler2_OST/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?