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決戦2

Tr4-14 決戦2

皆さんの中にはこの曲の解説をお待ちしていた方もいらっしゃるのではないでしょうか、「決戦2」の楽曲解説です!
「決戦1」はオーケストラを主体としたサウンド、「決戦2」はロックを主体としたサウンドの方向性にしているという解説は既にしたかと思いますが、やはりRPGのロックサウンド・バトルミュージックはそのタイトルの「花形」、絶対に外せない曲の1つなのです。

そしてそんな花形楽曲を構成する為の最重要要素の2つをここで解説します、まずは「極上のイントロ」ここに命をかけねばなりません。

思い返しても、過去の名作RPGの珠玉の名バトル曲達は皆必ず極上のイントロを持っていました。
僕なりにその理由を考えてたんですが、
まず大前提として、昔のRPGの多くがターン制バトルを採用していて、最近のRPGはかなりの割合が3Dアクションに形態を変更している状況があります。
3Dアクションゲームでは、フィールドとバトルが転換無くシームレスに繋りますので、音楽の遷移も必然的に自然な変化が求められます。(もちろんボスバトルなどはイベントを挟んでしっかり盛り上げてバトルに突入するものもありますが。)
一方ターン制のRPGでは、バトルとフィールドの遷移がスムーズに繋がるような演出ではなく、エンカウントと共に画面が暗転し、バトル曲への遷移と共に画面がスパッと切り替わる事になります。
ターン制RPG特有のこの演出が、強烈なイントロを持つ楽曲との親和性がとても高かったのが、その要因として挙げられるのではないかと。

つまり、ターン制RPGのゲームでは、ゲーム性の面からも強烈なイントロが不可欠であり、そこでの高揚感をどれくらい与えられるかが最重要の要素の一つとして求められていて、だからこそ極上のイントロが多く作られた、と考えています。

オクトパストラベラーの場合はそこに更に「バトルエクステンド」というキャラ固有イントロがくっついて来ますが、これは直前のイベントとバトルの導入の音楽遷移を綺麗に繋げる為のもので、思想としては3Dアクションゲームに求められてきたシームレスな音楽遷移をターン制RPGに逆輸入したような形になります。
しかし、その遷移先にはしっかりインパクトのあるイントロを持つボスバトル曲がある事により、バトル導入の高揚感を担保しています。
つまり、ある意味ここ最近の3DアクションRPGと古き良きターン制RPGのいいとこ取り、のような演出になっていると言えるのかもしれません。

そしてもう一つ、イントロと同等に大事な要素、それはもちろん「メロディ」です。

この「決戦2」では「ノーマルバトル1」と同様にトランペットのメロディをフューチャーしています。
やはりトランペットの音色とRPGのバトル曲はとても相性が良く、過去のRPG音楽にもシンセのトランペットの音色が多く使われていたと思います。

正確には、当時のRPG音楽で流れていたシンセのトランペットの音色って、生のトランペットと似ている部分はあれど、全く違う音色と捉えてもいいくらいのもので、それはそれで独特の魅力を持っていました。
なので、単純にそれを生のトランペットに差し替えても「何か違うな…」と違和感を感じてしまう事が個人的には多いです。

それはシンセだからダメ、生だから良い、という事では無く、
その独特の音色がその楽曲の魅力を表現するのに大事な役割を担っていたという事だと思います。
だから、生でそのまま録っただけだと、オリジナルのシンセの音色の方が良かったかも…みたいな事が起こるのです。

更に言うなら、当時のゲーム内で鳴っているシンセは、各社オリジナルのものを作っていましたから、ゲーム会社によって同じトランペットの音でも全然音色が違う、という事が起こっていて、それが各社のゲーム音楽の特色を表現していた部分もありました。
つまり、贅沢にもゲーム会社毎、作品毎に他社には無いオリジナルの音源を作っていた事になるわけです。
これは捉え方によっては、当時よりリッチな環境と言えるかもしれません。

オクトパストラベラーでは、そんな当時のシンセの音色に負けないような生のサウンドを求めなければいけないので、ストリングスやトランペットの音色は限りなくパリッとした音色で収録するようにし、派手さが足りない場合は更にそこにシンセの音を混ぜたりしています。

この「決戦2」ではそうしたパリッとしたトランペットの音色で、勇壮なメロディを奏る事によって、心躍るボスバトル曲の重要な「メロディ」の要素を実現しています。

なんだかんだで長くなってしまったので、今日はこの1曲で失礼します!


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