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神官テメノスのテーマ/剣士ヒカリのテーマ

Tr1-9 神官テメノスのテーマ

テメノスは、聖火教会の街フレイムチャーチで異端審問官として働く神官で、次第に聖火教会の裏側に渦巻く邪悪な陰謀に巻き込まれることになります。
神官でありながらどこか物事を斜めで見るような態度があり、片や誠実一本槍といった性格の相棒のクリック君と協力して困難を解決していく「バディ物」のストーリー展開が個人的にお気に入りです。

テメノスを表現する音楽としては、まず彼の掴み所のない飄々とした性格謎めいた雰囲気を表現する必要があります。またゲームのギミックとして謎解き要素もありますので、それも大事にしたいですね。
まず、チェンバロの音色マリンバのトレモロ奏法を使ったりで、飄々とした雰囲気を演出しつつ、和音の進行を転調を多く用いて不思議にする事で、つかみどころのない感じが表現出来るよう意識しました。

では、なぜ転調を多用すると不思議な、掴み所のない雰囲気が出るのでしょう?

僕らが普段聴いているポピュラー音楽は(現代音楽などのちょっと小難しい音楽は除きます。)基本的には調性(キー)に縛られていて、そのキーの中で和音を進行させたり、そのキーに紐づいた音階を使用する事により音楽が形作られています。

また、キーに縛られつつも、他のキーから和音を借りてきたり、先ほど書いたような転調といって、他のキーに移動したりする手段もあり、それらの組み合わせで、飽きさせない音楽を作っていくわけです。

つまり、キーという世界の中にいる間は人はある種の安心を感じ、そのキーから外れたものが挟まるとそこに緊張や心の動きが生じるので、作曲家はその差し引きをする事により感情をコントロールしています。

テメノスのテーマは冒頭Emのコード(ミソシ)から始まり、すぐその後にはC7のコードに移ります(ドミソシ♭)。
2つのコードの間には結構共通点があるので(ミとソ)、そこまで急激なキーの変化は感じ無い関係性なのですが、シ♭の音はEmのキーには含まれ無い音になるので、少しフワッとした、Emのキーから外れた雰囲気が出ます。

こういったフワッとした掴みどころの無い感じの和音の進行を随所に散りばめる事によって、彼のキャラクター性を表現しています。



Tr1-10 剣士ヒカリのテーマ

「ク国」という、もはや全盛期を過ぎ、今や暮れゆく祖国を憂うヒカリは、強い使命感と王族としての品格を持ちながら、一方民に対する心配りを忘れない優しい気持ちを併せ持ったキャラクターです。

彼の祖国である「ク国」は架空の国ですが、デザインなどのテイストはアジアンな要素を強く感じますよね、なのでヒカリやその関連地域の楽曲には
二胡やシャオ(中国の縦笛です)などの中国楽器や、音階にもペンタトニックや和音に4度の響きを使うなど、アジアンテイストを強く感じる要素を多く取り入れています。

中国の縦笛シャオ

二胡は李英姿さん、シャオはSun Xiaomengさんに演奏をお願いしました。

ヒカリは同じ剣士のジョブである1のオルベリクと、なんとなく設定的にも似ている部分がありますが、現在進行形で廃れつつある祖国、そして兄弟との関係など、ヒカリ特有の思いと、華奢な体の中に秘める彼の強い思いを音楽で表現出来るよう、頑張ってみました。


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