【朝映画】「AWAKE」20210117
実際にAIと将棋のプロ棋士が、将棋で戦った「電王戦」を描いた映画。
この映画を見るまで知らなかったが、2015年に行われ、そして伝説的に語り継がれる伝説の一局についてを、その時に使用されたAI「AWAKE」の開発者視点で描いた映画。
①概要
主人公、清田英一(吉沢亮)は、プロ棋士を目指し奨励会に入っていた。小学生の頃までは、勝率もよかったが、大きくなるにつれて負けが多くなる。勝手になのか、相手もなのかわからないが、ライバル視していた浅川陸(若葉竜也)に負けたことがきっかけで、奨励会もや、プロを諦めることになる。一方、浅川陸はプロ棋士になり、活躍していく。
奨励会を辞めてから受験勉強をして、何年かストレートよりも遅く大学に入るが、そこでひょんなことから将棋をさすAIプログラムと出会う。将棋とはあえて距離を置いていたが、AIであれば自分が理想とする将棋をさせるのではないか、という思いから、自らもその開発を行うために、AI開発のサークルに所属することになる。
②感想
元々、邦画は全然見ない方だったのだが、すぐ毎週映画を見るようになってから、近くの映画館がイオンシネマなのもあってかラインナップが邦画が多く、見るようになった。それもあってか、俳優についても前より見るようになった。
この映画は、棋士とAI開発者がテーマなので(なので、でいいのか知らんが)、佇まいや話し方が特殊な役が多かったように思う。
そんな中で、出演している方が全員うまくて、驚かされてしまった。ほんとにこんな棋士、AI開発者っているんだろうなーと本当に思わされた(イケイケのドワンゴのプロデューサーもきっとこんな感じなんだろうと思った)。特に、初めてお見かけした俳優さんだったのだが、主人公にAI開発のイロハを教える磯野役の落合モトキさんがとても上手いなーと思った。パンフでも述べられていたが、映画の中で一番セリフ量が多い。あと単純に、この映画での一番の「良い役」がこの磯野だというのもあると思う。
ストーリーに関しては、実際とは結構違うようだ。おそらく、事実ベースの開発過程の話はすごく近いと思うが、個人の感情的な部分は、悪く言ってしまえば、絵になるように美化されている。
なので、映画として見て、それで終わりたい、そんな感想だった。見た後に、実際のことをネットで調べて、ちょっと落胆してしまった。
③一番好きなシーン
これは気の所為なのかもしれないのだが、個人の感想として好きに書くとするが、
主人公のライバル、浅川陸が、奨励会の対局で清田を倒す。その敗戦で清田は奨励会を辞め、次回対局から来なくなってしまう。次回対局時、清田の席が空席であることを見た浅川が何かを感じているようなシーンがある。その直後、浅川が対局に臨むのだが、指し手(駒の手使い)がそれまでと変わったように感じた。
それまで、小学生の頃から、浅川は、どちらかと駒をちょいちょい触れて進めるような感じで、対して清田は駒を持ち上げバチっと置く感じだった。
清田がいなくなったのを確認した浅川は、それまでのちょいちょい駒を触れて進める指してから、清田のように駒を持ち上げてバチっと置くような形になった。
まるでプロを断念した奨励会を辞めていく清田の意思を浅川が引き継いだような、そんなふうに感じられた。
映画のテーマの一つに、奨励会を辞めていく人たちの思いを扱っている。また実際、パンフレットのインタビューでは、浅川役をやった若葉竜也さんは、一番にこの「指し手」を練習して、プロから見ても遜色ないレベルまでにしたらしい。この「指し手」の変化には何か思いが込められているように思った。