対照押韻論:新しい英語の「完全韻」

 こんばんは。Sagishiです。

 今回は、『英語の完全韻』について書いていきます。


◆英語ライムタイプの更新

 歴史的に、英語のライムタイプは「完全韻」と「不完全韻」の2種別に分けられます。しかし、HIPHOP以後の現代においては「不完全韻」にカテゴライズされている脚韻がスタンダードな位置を占めています。

 よって、本記事では「完全韻」と「不完全韻」の定義を更新したうえで、新しく「標準韻」というライムタイプを追加することを提案します。これにより、ライムタイプを現代的で実践的なものにします。

 新しい英語のライムタイプを、以下に示します。

●完全韻(Perfect rhyme)
・閉音型(Closed type)
 seat[síːt]/beat[bíːt]
・非強勢型(Unstressed type)
 seating[síːt.iŋ]/beating[bíːt.iŋ]

●標準韻(Standard rhyme)
・類縁型(Family type)
 seat[síːt]/feed[fíːd]
・開音型(Open type)
 see[síː]/bee[bíː]
・標準型(Standard type)
 seat[síːt]/feel[fíːl]
・不調和型(Discordant type)
 see[síː]/beat[bíːt]
 rock[rάk]/box[bάks]
・非強勢型
 seeing[síː.ɪŋ]/being[bíː.ɪŋ]
 seating[síːt.ɪŋ]/feeding[fíːd.ɪŋ]
 heard in[hˈɚːd.in]/persian[pˈɚːʒ.ən]

●不完全韻(Imperfect rhyme)
・閉音型
 cat[kˈæt]/hut[hˈʌt]
・類縁型
 cat[kˈæt]/hop[hάp]
・非強勢型
 fashion[fˈæ.ʃən]/ocean[óʊ.ʃən]
・同音型(Echo type)
 weak[wíːk]/week[wíːk]
・強行型(Forced type)
 arm[άɚm]/mom[mάm]
 cookies[ˈkʊk.iz]/sneeze[sníːz]

 特徴は「完全韻」の定義を、より厳密なものとし、後続の子音の一致を必要とした点です。開音節(Open syllable)の脚韻は「標準韻」にスライドしました。

●完全韻の定義
・頭子音が異なるストレス音節にて押韻されており
 かつ母音以降の要素が存在し、完全に一致していること

●標準韻の定義
・頭子音が異なるストレス音節にて押韻されており
 かつ母音以降の要素が存在しないか
 存在する場合は完全に一致していない(母音以降の要素は問わない)

●不完全韻の定義
・頭子音が異なるストレス音節にて押韻されていないが
 尾子音が一致あるいは類縁している
・非ストレス音節にて押韻している(頭子音は問わない)
・完全に同音のペア
・発声を強行に変化させて、本来は異なる母音同士で押韻する
 あるいはストレス音節と非ストレス音節で押韻する

 またFamily rhymeなどの細々としたカテゴライズを廃止し、型式(Type)として再定義しました。これにより、複合的な要素をもつライムタイプにいちいち名前を定義する必要がなくなります。要するに、標準韻・類縁非強勢型のような表記が可能になります。

・標準韻・類縁非強勢型
 seating[síːt.iŋ]/feeding[bíːt.iŋ]

 何か考慮不足な点や、疑問があればお伝えください。


詩を書くひと。押韻の研究とかをしてる。(@sagishi0) https://yasumi-sha.booth.pm/