政策考論:エネルギー政策・自然エネルギー100%は可能か
こんばんは。Sagishiです。
衆院選を終えて、いよいよわたしは政策議論をより深めていきたい気持ちでいます。今回の衆院選は、野党勢力は「量的議論」が多く、「質的議論」まで踏み込めていない印象がありました。
一律給付金の金額や財政出動の規模、教育への予算の拡充などが、非常に議論のなかで大きなウェイトを占めていました。しかし、ここには「質的な議論」があまり含まれていません。
例えば「教育」であれば、「GIGAスクール構想の推進・発展」「オンライン教育の推進と教育の質の向上推進」「大学ファンドの設立」「東海国立大学機構をはじめにした、国立大学の一体化の推進」などが、質的議論になってくるはずです。「教育への予算の拡充」という量的議論では足りない部分を、これからは深化させていく必要があると感じています。
1 エネルギー政策
1-1 自然エネルギー100%は実現できるか
エネルギー政策では、立憲民主などは「2050年に自然エネルギー100%」を主張されています。しかし、これはわたしは現実的ではないと感じます。
ここで例を出しますが、わたしの家には「太陽光パネル」が設置されています。そして、その発電量と電力使用量のデータを記録しています。
直近2週間の「電力使用量データ」を公開します。値がマイナスになっている部分は、「発電量」が「使用量」を上回っていることを意味します。
すると、平均で約-330Wを記録しているため、2週間平均で「発電量」が「使用量」を上回っています。(直近3ヶ月平均だと-238Wです)
これだけ見ると、一家庭内においては「自然エネルギー100%」が可能かのように見えますが、わたしの家には「蓄電池」がありません。つまり、日中の発電量を貯蓄しておくことができません。余剰の発電量はすべて「売電」されています。よって、夜間や雨天時は使用量が「+」になっていて、電力会社(主に火力発電)から「買電」しています。
よって一家庭内においてでさえ「自然エネルギー100%」を実現するためには、夜間や長期の雨天をカバーできるだけの「蓄電池」が必要になります。「自然エネルギー100%」を実現するには「蓄電池」なしに不可能です。
1-2 蓄電池を全家庭に配置するのは現実的か
直近30日平均の「1日の電力使用量」は「6.36kWh」です。となると、もし2日ずっと雨天であれば「12.5kWh」はだいたい使うことになります。
低く見積もっても、2日分くらいは「蓄電池」でカバーできなければ、「自然エネルギー100%」とは言えないでしょう。しかし、そうなると大型の蓄電池を全家庭に配置する必要が出てくることになります。
ひだかや株式会社が公開している『蓄電池システムの相場』(2020年)を参照すると、軽く100万円を超えるようなものがほとんどで、しかも投資に見合うほど「電気料金」が安くなるということは、単純な計算上はほとんどありえないため、費用対効果がほとんど期待できないです。補助制度なしで個人が「蓄電池」を購入するのは大変困難ですし、メリットも少ないです。
一家庭内において「自然エネルギー100%」を実現するには、「蓄電池」が必須ですが、大型蓄電池を個人が購入するのは現実的ではないです。
日本に一戸建ては2,600万あります。もしこの全戸建てに、政府主導で「蓄電池」を設置するとなると、ゆうに100兆円を超える予算を確保する必要があり、全く現実的ではありません。
そして風力発電や水力発電は、火力発電が発電する発電量には遠く及んでいないため、他の自然エネルギーに頼ることも現実的ではありません。これは経済産業省のHPを見れば分かります(2019年のデータ)。
日本の自然エネルギー比率は18%しかないです。2050年までに「自然エネルギー100%」というのが、いかにファンタジーなのか分かるかと思います。原子力発電を使わないのならば、不足分を火力発電に頼る必要があります。
1-3 脱炭素と両立するためには
そうなると、日本において「脱炭素」と「自然エネルギー」を両立するのは非常に困難であると分かります。火力発電に頼らざるを得ないからです。
最悪のシナリオは、日本が「炭素排出権」を購入して、これを凌ぐというシナリオです。
しかし「自然エネルギー100%」は非現実だとしても、「自然エネルギー30%」程度ならば見込みはあるでしょう。当面は、各家庭に「太陽光パネル」と「蓄電池」の設置を、政治主導で推進できるかが鍵になります。
エネルギー政策を前に進めるためには、「太陽光パネル」や「蓄電池」の設置に、それぞれ50万円程度の補助金を用意する必要があるのではないか、とわたしは感じます。
大量生産によって、費用を圧縮できる可能性はありますが、しかしこれがいかに膨大な予算を確保しなければならないのか、ということをわたしたちは直視しなければいけません。
詩を書くひと。押韻の研究とかをしてる。(@sagishi0) https://yasumi-sha.booth.pm/