対照押韻論:フランス語の導入
こんばんは。Sagishiです。
今回は、フランス語のrhymeスタイルを少し勉強したので、それのまとめの記事になります。
1 フランス語のrhymeタイプ
フランス語のrhymeタイプを調べて驚きましたが、いわゆる「完全韻」的な価値観を持っていないことが分かりました。
以下が、フランス語のrhymeタイプです。
いわゆる完全韻/不完全韻的なrhymeタイプの区分けではないのが分かります。特に英語のrhymeタイプと異なるのは、エコー(同音韻)を許容していることです。
英語のrhymeタイプは、基本的にOnsetが異なることを要求しており、完全なるエコーを避けようとする傾向にあります。しかし、フランス語のrhymeタイプはむしろエコーを積極的に推奨しています。
これは実作を読んでもその傾向があることが分かります。以下のように、伝統的な詩歌においても積極的にエコーが使われています。
なぜこのようなrhymeタイプを具有するに至ったのかは分かりませんが、フランス語は文末音節をエコーにすることに、何らかのインセンティブが効いているのだと推測できます。
2 押韻論の再構築
半年ほど前に書いた記事で、わたしは「完全韻」の定義を以下のように定めましたが、対極・独立並行するような価値体系を知ったことで、これまでの押韻論を再構築する必要性を要求されています。
フランス語は、基本的に文末の音節に自然ストレスが付与されるようです。わたしは、主にストレス音節を差して「rhyme音節」というものが存在するのだという前提でロジックを建てようとしましたが、フランス語はストレス音節の直前の音節にも、rhyme区間が浸潤する傾向にあります。
またOnsetの同一を許容しますし、1モーラのストレス音節(日本語の視点)になることもあります。
これらの特質は、英語的な完全韻の世界観とは両立が難しいように思います。特に②は対立しますし、③④⑤も両立が難しそうです。よってフランス語のrhymeタイプは、これは完全韻とは別個の価値観としておいておくのが良いと現在は考えています。
詩を書くひと。押韻の研究とかをしてる。(@sagishi0) https://yasumi-sha.booth.pm/