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押韻論

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日本語の押韻の基礎的な考察や研究
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2021年5月の記事一覧

響きの押韻論:押韻の「響き」の評価指標

 こんばんは。Sagishiです。  今回は、押韻の「響き」の評価指標について書いていこうと思っています。また、そもそも私が「押韻」を研究・分析しようと思った動機について、これまであまりまとめて書いてこなかったので、そちらにも触れていきます。 1 押韻を研究する動機 なぜ私が「押韻」を研究というか、こうやって考えたり調べたりしているのかというと、動機は2つあります。  ①ですが、もともと私の専門分野は「文学」です。特に「現代詩」が専門で、私自身「現代詩」を書きますし、詩

英語のライムタイプ:『パーフェクト・ライムの条件』について補足

 こんばんは。Sagishiです。  10年来の付き合いがあるやおきさんに『パーフェクト・ライムの条件』という記事を書いていただきましたので、今後の日本語の『押韻学』のためにも、いくつか補足・疑問などを表明しておきたいと思いました。  Pat Pattisonの著書『Essential Guide to Rhyming』によると、「完全韻(Perfect Rhyme)」の定義は上記となっています。  また、「完全韻(Perfect Rhyme)」以外にも様々なライムタイ

日本語の重音節による韻②/重音節の後部要素

 こんばんは。Sagishiです。  今回は、以前の記事を別の観点から書いていきます。 1 重音節の特殊モーラを置き換えても響く 以前から日本語で押韻をしているときに、特殊モーラを含む音節(重音節)の後部要素を、別の特殊モーラに置き換えても、「響き」が感じられるな、と思っていました。  「酩酊/形成」のように、同じ要素をもつ重音節のペア同士(かつイントネーション同じ)の場合に響くのは当然ですよね。でも、「酩酊/全然」のように、特殊モーラ要素が異なる重音節のペア同士でも響