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文学・詩歌

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2023年2月の記事一覧

詩型論:日本語の押韻詩の詩型に関する考察

 こんばんは。Sagishiです。  いよいよ押韻詩の詩型に関する考察をしていきたいと思います。 1 詩行の音数 最初から残念なお知らせですが、現在のわたしは、現代日本語東京方言を使った詩歌で、詩の一行の音数を決めることは事実上不可能だと考えています。理由を以下に列挙します。 1-1 韻律単位の問題  現代日本語東京方言は、モーラリズムの言語ですが、話中では軽音節(1モーラ音節)と重音節(2モーラ音節)が任意のタイミングで出現します。  現代日本語東京方言の自然な日

詩歌:瓢箪

剝がされてゆく窓の薄氷 開け放たれる赤子たち 戸惑うだけの鳴き声は渇望 無垢からあふれる花の味 洞窟を押し広げる夢は 捨て去られた過去を空想 なんども境界に手を触れた そのたびに眼裏に集光 届かない故郷のクレソンに 鼻を押し当て男と連れションし くだらない冗談を交わす あたかも前世の光景を幻視 しているだろうか、喉下の天使 やさしい手で瓢箪を触る

詩歌:雪と光

風に煽られ木の葉揺れ 身の振るさきなきこの行方 新雪の積る道の白 流れる時の言葉・夢 膨れる新芽の芯の先 開いて閉じては胸をつく ひそか陽炎 詩の灯り ゆっくりこころをほだしつつ 子供の声は記憶のあと 手のひら残る冷たさも 暑さもいつか消えるもの ようようメロディに乗せながら 静かな水辺に遊んでる 憧れのひとの背の広さ 白鳥(はくちょう)の羽か温める 心理のうちに秘める想い