新日本プロレス東京ドーム大会全試合雑感

 皆さまごきげんよう。今回は新日のドーム大会について書きますわ。LIVE感を大事にして書きたいので、観ながらの文章となりますの。ですから熱が入ると、長く暑苦しくなると思いますけども、そこは皆さまご理解下さいといいますか、むしろそれがわたくしの持ち味だと認識して下さっていると思いますので、ヒートアップにお届けしますわ~!!!

 さてダークマッチについては他の記事を読んでいただくとして、第1試合はTJP、フランシスコ・アキラvsYOH、リオ・ラッシュのIWGPジュニアタッグ選手権試合というカードですわ。会場設備は豪華ですし、コスチュームも派手なのですが、入場はスタスタ歩いてくるだけで味もそっけもなく、試合にも個性が見えませんわ。技はたくさん出していますけどもリズムに緩急がなく、全てが想定内の動きばかりですのよ。

 他の団体でただスピーディーな試合を観るならばまぁいいですけども、新日本で闘いのないスピーディー試合を見せられてもわたくしは戸惑ってしまいますわ。新日本というかGLEATを観ているみたいだと思いましてよ。昔、全日本の渕がハヤブサ、人生vs田中、黒田のアジアタッグ選手権試合を観て「個性がない」と言ったのを思い出しましたわ。渕は裏では馬場の頭脳として働いていた人物。その渕が“どういう技をやるかではなく、どういう間のプロレスをしているか”を観ているのは興味深かったですわ。全員がスピーディーに同じ間で時間を経たせる試合は敵味方関係なく全員が協力的な“演舞”になってしまいがちですわ。そこに闘いの緊張感はなく、ズバリ言及していた渕はさすが全盛期の全日本の頭脳だと思いましてよ。片や昔の新日本は長州力が現場監督で、ハイスパットな試合を後進にやらせようとしましたが、橋本も武藤も蝶野も長州の進めるハイスパット、ひいてはラリアットプロレスと違うテンポの試合をし続けましたわ。ここに、1人1人の個性が違いすぎる新日本らしい試合の復活の鍵があると思いましてよ。

 さて、闘いの緊張感はないと書きましたが、逆にこの試合にあるのは“試合の見せ場をスピーディーにクリアしていく”ということに選手がこだわってしまっているエンタメイベント感ですわ。だから何だか4人で1つのカラーになってしまっていて、派手な動きが華を持たずに不思議な空気を醸成する元になっている印象ですのよ。IWGPの名前が入っている選手権試合で、新日本生え抜きの日本人も混じる割に、新日本の香りを全くかんじられなかったので、正直寂しいと思ってしまいましたわ。他の団体ならば「こういう試合なのね、まぁ新日本じゃありませんものね」と思って特に触れようとは思いませんけども、新日本プロレスの選手にはもう少ししっかりしてほしいと思ってしまいますのよ。新日本の名前を背負う以上、闘いを期待してもいいですわよね?昔の新日本はそこの期待に応えてくれていたのですから、今の選手はどうせ出来ないと諦める方が失礼ですわよね?昔のように「新日本は違いますわ、新日本ですもの」と思える新日本プロレスがまた観たいですわ。最後はTJPがYOHを首固めで丸め込みましたけども、どっちのチームがどっちに勝ったのかよく分からなかった方も多分いたのではなくて?だってカラーがないのですもの。

 第2試合はIWGP女子選手権試合。KAIRIvs中野たむ。入場から両者自分の世界観を見せようとしていて、そのなりきりぶりが女子ならではと思いましたわ。大舞台で爪痕残そうとしつつ、しっかり地に足つけた試合するのは男子より女子の方が上手なのかもしれませんわね。試合時間は5分と短いながらも打撃もガンガン入れる激しい試合で、名刺代わりにはなった内容だったのではないかしら。ただ、中野たむはブリッジがいいのに足のレガースと新しいコスチュームのお尻のチュールが大きくて、見た目の邪魔になっているかんじが若干あって気になりましたわ。女子は体が柔らかいのでブリッジで魅せる為に装飾をつけすぎない部分もあるといいと思いましてよ。気になったのはそこぐらいで、試合前から歓声も上がっていて、女子プロファンが来場しているのをかんじましたし、試合後にはメルセデス・モネー(サーシャ・バンクス)が現れてKAIRIを襲撃して宣戦布告する予告編までついて、興行にいい流れを作ったと思いますわ。サーシャ・バンクスの名前がアメリカのWWEに商標登録されている関係で使えない世知辛いかんじプロレスならではで面白いですけども、昔、新日本に来た暴君ブロック・レスナーの必殺技名もF5からバーディクトに変わったのもWWEの商標の関係でしたわよね。嗚呼、暗黒時代……!ちなみにKAIRIが必殺技のインセインエルボーで勝ちましたわ。躍動感あるフォームで印象に残りますわね。男子と女子の試合を1つの興行に同居させると普通はどちらかが損しますけども、今回はどちらにもよかったのではないかしら。女子は少なからず興味を持ったファンを引っ張れるでしょうし、男子はアクセントになりましたわ。新日本に女子プロ出場が定着するのは正直言って好ましいとは思えませんし、その逆もまた然りなのですけども、第1試合が(個人的には)ピンと来ない前座試合でしたので、たまに助けてもらうぐらいはあった方がいいかもしれませんわね。わたくし、新日本プロレス以外の選手に関してはガバガバ好意的評価でいいと思っていますし、実際そうですので、難しいことは抜きにして、よほど変でなければだいたい何やってもOKですわ。

 第3試合はIWGPタッグ選手権試合。後藤、YOSHI-HASHIvsダックス・ハーウッド、キャッシュ・ウィーラー。昔はドームでも後半に組まれた栄光の選手権試合でしたのにこの扱いは何とも言えませんわね。何だか寂しいですわ。挑戦者の日本人チーム毘沙門が連係技の消灯(ファイナルカットとスパインバスターの合体技)をハーウッドに決めて勝ちましたわ。地味ですけども新日ファンの中では定着しているみたいで大合唱していて楽しそうで何よりでしたわ。よほど変でなければ、技の価値というものは選手と支持ファンで作るものですからね。ちなみにFTR(外人チーム)は最近よくある量産型タッグチーム感があって、これがIWGPタッグ王者というのはやはり何とも言えませんけども、タッグそのものが昔と違ったものになっていると思いますので仕方ないのかも。昔のタッグマッチはチームによって助け合いの割合が違っていて、それが面白さになっていましたけれども、今は常にパートナーとの連係を狙う2対2という座組みで、重い試合にはなりにくいのでしょうね。

 第4試合はTV選手権試合、成田蓮vsザック・セイバーJr.ですわ。成田は今の新日が推していますし、柴田勝頼の弟子という設定で“ストロングスタイルの継承者”しぐさですが、わたくし新日本プロレスのストロングスタイルにハチャメチャ緻密なこだわりがありますので違和感しかありませんのよ。

 新日本のストロングスタイルとは、主にアントンが修得したレスリング、高専柔道、ゴッチ式ダーティーファイトサブミッションレスリング、ブラジリアン柔術の4つを組み合わせた新日本プロレス流の寝技がベースにある試合ですわ。これが藤原喜明が技術の中核を担うようになりますとレスリングが弱まってゴッチ式が目立ち、馳&健介が道場長になりますと部分的にゴッチ式が残る&レスリングエリートたちの元からある技術の掛け合わせに変質した感がありますわ。そして飯塚が道場長になってサンボの香りが加わりつつアントンしぐさのスパーリング強制時代に戻り、木戸や山崎の時代に馳健前の技術体系に戻った感がありますわ。

 柴田勝頼は飯塚時代の道場ですけれども、総合格闘技に転出して船木誠勝に師事して技術刷新した時代がありますので、UWF~パンクラスの技術になった感ありますわ。先日の巌流島での柴田の試合もUしぐさでしたし、この流れを継いだのであれば、成田蓮のスタイルは新日ストロングスタイルというよりもUもしくはパンクラスの末裔といった位置になると思いましてよ。新日ストロングスタイルにキックはありませんし。これにつきましては、ゴッチが本格的な蹴りに否定的でしたし、ゴッチの教えを受けていない世代がゴッチイズムが息づくストロングスタイルを主張するのならば、蹴りが入るレガーススタイルを取ってしまうと、UWFスタイル以降のブランドを名乗らないと分類上欺瞞になってしまいますのよ。試合は腕十字でザック・セイバーJr.が勝ちましたけども、序盤でバックの取り合いではなくバックの取られ合いをしていまして、そこに戦闘技術はなく、形だけのエンタメの割合が強かったように見えましたわ。ですからストロングスタイルの香りはわたくしはかんじませんでしたし、変だと思いますので、この辺はどうも辛口になりましたが、ストロングスタイル継承をうたう成田、それを推す新日、支持しようとしている新日ファンの3者の心に期待を込めてのエールだと思っていただけると嬉しいですわ。

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