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読書note21「ナルティスとゴルトムント」ヘルマン・ヘッセ著

ヘッセ全集読破の旅、最終コーナーを曲がった感じです。新潮文庫版では「知と愛」。聖職者ナルティスと放蕩者ゴルトムントの対比で、思索と禁欲の世界で求めていくものと、美と愛の追求の向こうにあるものが、実は同じものである、といった人間の持つ二元性を追求する作品になっている。昔、読んだ時にも惹かれた好きな作品の一つだった。二元論といえば、最近ひっかかっている「ロゴスとレンマ」とも、また、繋がってしまった。たぶん自分の中で、この二元論がヘッセを呼び起こしてしまったのだろう。

ヘッセがこの本の中でゴルトムントの言葉として、そのことを吐露する箇所がある。

すべての生存は二元性の上に、対照の上に立っているように思われる。人は女であるか男であるか、放浪者であるか平凡な市民であるか、分別があるか、感情的かのいずれかだ。---どこにおいても、吸う息と吐く息、男であることと女であること、自由と秩序、衝動と精神を同時に体験することはできない。常に一方のためには、他方を犠牲にしなければならない。そして常に一方は他方と同様価値のあるものなのだ!

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